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前回の『警告』の続編。 前回・今回の2冊で、 検屍官ケイ・スカーペッタに大きな変化が訪れる。 この壮大ともいえるドラマは、是非、最初から。 確かに単独でも、面白く読める本ではあるが、 今やこのシリーズの魅力は、流れていく時間であり、 それとともに変化していく、登場人物たちのドラマにある。
ドラマの縦糸と横糸が巧みに織りあわされ、 幾重にも幾重にも重なったストーリー生み出している。 ケイ・スカーペッタの活躍するミステリーものとしてだけでなく、 長く続けば続くほど、人間の愛や悲しみ、 信じたくはないほどの根深く救いようのない悪意の存在、 そういうものの方が浮き彫りにされてきているような気がする。
毎回、検屍官が活躍する「猟奇犯罪」が登場するが、 目を離すことができないのは、ケイをとりまく人間関係。 彼女を愛するもの、憎むもの、同僚、犯罪者。 そのすべての人々。 人は変りたいと思っても、 なかなか自分を変えることはできないのに、 変りたくないとどんなに願っても、 すこしずつ自分自身を変えていかねばならない。 思うようにならない人生の悲痛。 限りなく悪に身をゆだねることのできる人間の恐ろしさ。 シリーズを読み重ねていくにつれ、 「人間」というものについて、しみじみと考えさせられる。 面白くはあるが、同時に非常に重たい物語でもある。 それでも、次が待ち遠しくなるのは、 今やすっかりケイに同調し、彼女の平穏と幸せを願うが故だ。
彼女の行き着く末は、一体どこなのだろうか。(シィアル)
『検屍官シリーズ』
著者:パトリシア・ダニエルズ・コ−ンウェル / 訳者:相原真理子 / 出版社:講談社文庫
『検屍官』 『証拠死体』 『遺留品』 『真犯人』 『死体農場』
『私刑』 『死因』 『接触』 『業火』 『警告』 『審問』
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管理者:お天気猫や
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