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人生のハードルは、時として非常に高い。 ハードルというよりも、遙かに見上げる壁、 ということもしばしば。
自分を貫こうとすれば、 いや、貫きたい「自分(の思い)」があれば、 しばしば嫌というほど、「壁」に突き当たってしまう。 それはもちろん、大人だけでなく、 少年だって同じ。
『バッテリー』を3冊全部読み終わって、 しみじみ、人生の「障害物競争」について考えた。 ほんとうに。至る所、障害物だらけ。 もちろん、少年だって。
少年は野球をしたいだけ。 自分の野球。 マウンドからキャッチャーのミットへ、 ただボールを投げる。 シンプルだ。 チームがどうとか、学校の方針がどうとか。 先輩とか後輩とか、そんなこと関係ない。 ただ野球をしたい。
そんなシンプルな思いなのに、 シンプルすぎて、伝えるべき言葉も出てこない。 それが主人公、原田巧。 父親の転勤にともない新しい街の、新しい中学へ進学。 捕手・永倉豪との出会い。 最高のバッテリーになる予感と裏腹に。 遠ざかる、マウンド。 管理教育の壁。先輩のいじめ。 野球をしたいだけなのに。 ストレートな思いは、激しすぎて、 仲間まで傷つけてしまう。 誰も、ヒーローではなく、 どこにも、ヒーローは現れないから、 一つずつ、ゆっくりと、解決して、 前進していくしかない。
カテゴリーは、児童文学であるが、 すそ野は広いと思う。 中学野球が舞台になっているが、 少年の友情・成長物語としてだけでなく、 野球が好きな人も、きっと満足するだろう。
ずっとずっと、 これから先も、 少年たちの成長を見守っていきたい。 読後さわやかな一冊。(シィアル)
『バッテリー (1・2・3)』 / 著者:あさのあつこ / 出版社:教育画劇
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管理者:お天気猫や
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