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主人公のヴァンパイアは、ソーニャ・ブルー。 物語は、彼女が病院を脱走するところから始まる。
もとアメリカの富豪の娘で、吸血鬼にされてから まだ数十年しかたっていないにもかかわらず、 その世界では相当の大物とされる。 吸血鬼の美女が主演のアクションホラー作品 というので、手軽に読めると思っていた。 英国幻想文学賞とブラム・ストーカー賞を受賞する だけのことはあるのだった。 派手さだけではなく、深いものが。 もっとも、ソーニャによれば、
"ストーカーの「ドラキュラ」は ビクトリア朝時代の哀れを誘う性妄想にすぎない"
のだった(本文引用)。
いわゆる耽美系ホラーではないので、 性と暴力と血と骨と排泄物の臭いにまみれながら、 ソーニャのハードな人生(真生?)に 同乗させてもらった。
私の好みは、筋と直接関係なさそうな薀蓄やら、 ものごとに対する作者の見解などが サンドウイッチのように挟み込まれたストーリー。
ソーニャたち怪物や天使、あるいは受信機能が過敏な人間の見る 「真世界」のありようも、2作目でさらに展開してゆくらしい。
それにしても、ソーニャが世界を放浪しながら 日本にもやってきたのには驚く。 そこに描かれた日本という国、まったくもって そらおそろしいところであった。 (マーズ)
『ミッドナイト・ブルー』 著者:ナンシー・A・コリンズ / 訳:幹遙子 / 出版社:ハヤカワ文庫
2001年02月13日(火) 『ファッションデザイナー』その(2)
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管理者:お天気猫や
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