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「グリーン・ノウ」シリーズの第四作。 英国で最も古いと言われる屋敷、 あのグリーン・ノウに本物のゴリラがやってくる! ということは表紙からもわかるのだが、 果たして、前半の途中までは、コンゴのジャングルに 生きる、ゴリラの家族の物語である。
ゴリラの幼な子の目を通してみた世界は、 第三話で登場した子どもたちのひとり、今回は主人公となる 難民の中国人少年ピンが体験してきた世界と、 どこか重なりあっている。 ゴリラのハンノウも、人間の少年ピンも、 自分らしく自然に生きられる場所を持たない。 かつて持っていた、そんな場所を探している。
一年前の夏には、グリーン・ノウ夫人の留守宅を借りた モード博士に招待されて過ごしたピンだが、 この夏は、グリーン・ノウ夫人に直接招かれることになった。
ついに初顔合わせとなるわけで、シャイな二人がどんなふうに 仲良くなっていくのかも、これまで読んできた読者には楽しみだろう。 そして、前回、グリーン・ノウをとりまく川を思うさま探検した ピンは、今回、誰も知らない森のふところに入り込む。 そこに待っているのは、不思議な糸で結ばれた 友だちだった。
ピンとハンノウ。 複雑で礼儀正しく、孤独な若い魂が 言葉を用いずに、手をつないでゆく。 森の一木一草が織りなす魔力にも似た引力、 せまりくる嵐への驚異と羨望。
なつかしいグリーン・ノウの新しい魅力に浸りつつ、 私たちはピンとハンノウを守りたいと願う。 何不自由ない自由を、与えたいと祈る。 この夏を過ごしたピンが、大人になってゆくことを知りながら。 (マーズ)
『グリーン・ノウのお客さま』 著者:L・M・ボストン / 訳:亀井俊介 / 出版社:評論社
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管理者:お天気猫や
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