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原題は『DREAM MAN』。 リンダを15冊ほど読んで初めて、これまでの 作品に似た設定に出会った。 男性が南部の刑事だった『二度殺せるなら』と 女性が霊能力者だった『黄昏に生まれたから』。 この二作が好きな方なら、『夜を忘れたい』も きっと気に入るだろう。
マーリー・キーンは、かつて霊能力者として捜査に協力し、 ある事件によって大きなダメージを受けた女性。 彼女は、回復をはかるためオーランドに移り住んだが、 一度は失っていた感知能力に目ざめてしまう。 しかも、相手は凶悪きわまる連続殺人鬼。 そのビジョンが、体験として流れ込んでくるのだ。 勇気をふるって警察へ出向いたマーリーは、 デーン・ホリスター刑事と出会う。
今回、デーンの盟友、オーランド警察の洒落者、トラメル刑事も なかなかに魅力的である。刑事ものの定石では、 案外、最も信頼していた仲間に裏切られ…などということも あるだろうが、リンダにおいて、それはない。 男性も女性も、友人は選んでいるのである。
途中からは犯人のモノローグも並行して入り、 捜査の結果、マーリーのビジョンの信憑性が裏付けられてゆく。 そして、お互いに殻を破って近づいてゆくマーリーとデーン。 二人で嵐のなかをドライブする場面は面白かった(笑)
いつも思うのだが、リンダの描く恋人たちの世界は、 ハリウッド映画にはできそうにない。 ラブシーンさえ適当(男性側から観た許容範囲)なら、大丈夫なのだろうけど。 そうなると、リンダでなくなるし、 ラブシーンを小説の1/10でも映像にしたら、 映像ではイロモノになるし、リンダファンも世の男性達も、 堂々と観れなくなる。
懲りない妄想をするならば、リンダなら、 『ハンニバル』を、サイコスリラーな場面はそのままに、 ラブシーンを10倍増やしても、納得がゆくように書くだろう。 リンダは主人公に犯罪者は選ばないが、 『ハンニバル』でのレクターは、ごぞんじのように、正当防衛くらいしか 暴力には走ってない。そもそも、クラリスみたいなタイプは リンダのヒロインとして、指定席に座ったようなもの。 …男性読者に嫌われるだろうなぁ、レクター博士。 (マーズ)
『夜を忘れたい』 著者:リンダ・ハワード / 訳:林啓恵 / 出版社:二見文庫2001
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管理者:お天気猫や
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