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漫画家の吉野朔実が『本の雑誌』と『ユリイカ』に 掲載・連載していた、マンガでつづるエッセイ集。
テーマは、本について。 著者は誰はばからぬ本の虫である。 オースターへのオマージュや、 私はこれを”読みきった自慢”、 アインシュタインの話(けっこう不気味である)、 わたしのザムザ。 そしてモンゴメリファンの私にとって最も興味深いのが 表題にもなった『お母さんは「赤毛のアン」が好き』である。
著者の母君は、本当の意味でアンのファンで、 アンを苦手扱いする人々や、アンにぞっこんであると称する ある種の人々の抱く少女趣味なイメージに惑わされず、 作品の本質を愛しているファンである。 「非情に現実認識能力に長けた人物」である母君が、 なぜか夢見がちな「アン」を気に入っている。 それは、もっともなことである。 と著者同様私も結論づけるし、「アンを引き取った気むづかしいマリラ」に 感情移入しているらしいのも、母君が「現実認識能力に長けて」いる 証拠だろう。
モンゴメリがアンを主人公にした物語を描きながら、 マリラも同じほど主人公として描いていることを、 母君は受けとめ、その上で「変わってて面白い」アンを愛している。 彼女の家事能力はマリラを上回り、リンド夫人なみである。
アンを愛する母君についてこの本のページは2枚しか割かれていないが、 私にとっては、とても広がりのある2ページであった。 このような母君のもとに生まれたら、 今よりも現実認識能力に長けていただろうか、とふと考える。 (マーズ)
『お母さんは「赤毛のアン」が好き』著者:吉野朔実 / 出版社:本の雑誌社2000
2003年04月18日(金) 「もうひとりの私をゆるしてあげよう」
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管理者:お天気猫や
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