HOME*お天気猫や > 夢の図書館本館 > 夢の図書館新館 ![]()
著者のウェブ日記を愛読していた。 たぶん私は中期頃からの読者と思う。
なぜ枕もとに、そろえた靴が置いてあるのか。 それは著者にすらわからない事実なのだった。 酒が関係している、ということ以外には。
ほとんどまったくお酒の飲めない私でも、 彼女の見せてくれる世界は、ハードボイルドとユーモアと 詩情ゆたかなフィクションが織り混ざった、 まるで行きつけの店の、いつものカクテルのよう。 (飲めないので行きつけはないが)
独特の文体で引きずり込む文章の切れ味、 泣かせどころ、構成の妙は言うまでもない。 数あるウェブ日記のなかでも異色な文章でありながら、 バックグラウンドの確かさはプロの仕事だ。
おそらく、共感のわきおこる一因には、彼女と私の境遇が 決定的な一点を除いて似通っている、というのもあるだろう。 と思いながら、お酒が飲めなくてもこれだけ共感するのだから それもあまり関係ないのだと気づく。
ともあれ、長い日本列島の南に住んでいる私にとって、 著者の繰り広げる世界の掟でもある「北海道の日常」は、 時折、異国的風物でもあった。冬用のワイパーがあることも 知らなかったし。
そして、「春洗い」や「闇染め」「影の手入れ」「夜まつり」といった風習は、 つくられたものでありながら、北国で暮らすという喜びを 郷愁とともに私のなかに植えつけたのだった。 (出版でカットされている部分がぜひ 読みたいというファンも多いだろう)
出版準備のころからウェブ日記の更新は終了してしまったけれど、 ごくたまに近況などが書かれているので(本のこともそこで知った)、 楽しみにのぞかせてもらっている。 (マーズ)
『枕もとに靴』著:北大路公子 / 出版社:寿郎社2005
2003年11月14日(金) 『バカの壁』
2001年11月14日(水) 『最新ニュースが一気にわかる本』
2000年11月14日(火) 『魔女の1ダース』
>> 前の本 | 蔵書一覧 (TOP Page) | 次の本 <<
管理者:お天気猫や
夢図書[ブックトーク] メルマガ[Tea Rose Cafe] 季節[ハロウィーン] [クリスマス]