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■■ お父さん
2003年03月20日(木)
今日はまた夜に電話会議だったので一人会社に残っていた。会議が終わって、トイレに行こうと思って部屋をでたら真っ暗で、廊下も化粧室も電気が消えていた。スイッチを押してみても点かないので、大本の電源が切れているのだろう。電気を点けてもらうためにわざわざ警備室に行くのも面倒なので、我慢して家に帰ることにした。会社を出ると、たくさんのほろ酔い気分のサラリーマンだの学生だのがうひゃひゃと笑いながら歩いていた。そうか、明日休みなんだもんね。
やってられねーぜ、と思ってタクシーで帰ることにして、ちょうど通りかかったタクシーを止めたら、一週間前に乗ったのと同じ車だった。行き先を告げると、運転手さんに「お客さん、この前も乗られましたよね」と言われてふとミラーをみると、確かにこの間の運転手さんだ。感じのいい人だったので、何となくほっとした。運転手さんは、感じはいいのだけどちょっとおしゃべりで、今日も彼の舌は絶好調だった。戦争の話に景気の話、芸能人を乗せたときの話、稲毛と稲城を間違えた失敗談や、酔っ払いを乗せたときの対処法などをずっと話していた。普段聞けない話もあって面白かったけど、ちょっと疲れた。でも、いい人なんだと思う。ふと、興味が沸いたので聞いてみた。
「運転手さん、タクシーの仕事をしていて、良かったことってなんですか。」 「そうですねぇ…。娘がね、新宿で仕事をしているんですけど、残業をして遅くなると迎えにきてって電話くれるんですよ。そんな時、良かったって思いますよね。だって、やっぱり心配じゃないですか、夜遅いし新宿は変なやつがたくさんいるし。でも、勤務中は電話に出れないから、この前メール付の携帯電話に買い換えたんです。でも、ははっ、まだメールの読み方がわかんなくってね。いやー、苦手なんですよねぇ、こういうのは。明日、私も非番なもんだから娘に教えてもらうんですよ。」
運転手さんはとても嬉しそうで、ごく普通の、娘を持つお父さんの顔になっていた。
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