スプートニクの恋人(村上春樹)について |
もう読んでから何週間かになるのに、未だになんだか気になるアイツ。 結末をどうとらえるかについて本を借りた相手と交わした会話が 妙に頭をぐるぐるしている。 「すみれ」は、半分を失ってきたのか、それとも半分を得てきたのか。 私は半分を失ったのだと言った。 相手は半分を得たのだといった。 でも、確かに半分は得られたのかもしれない。 帰ってきたすみれは「僕」のことが好きだと口にした。 一個の人間として完成した世界。 でもそのかわりに、その完成した人間には夢を紡ぐ力がなくなった。 すみれの世界からは小説を書くという彼女の一部分だった存在が もう存在しなくなっているように書かれている、と思った。 人はそうやって年を重ねていくのであって、それは紛れもない事実。 でもすごく悲しい現実。
|
2005年10月08日(土)
|
|