2000年08月13日(日) |
もちろんフィクションですよ。 |
自分に友人以上の興味を持っている事は分かっていた。 それらしい事は何度も言われたから。 でも、あたしは鈍感なフリと上手く交わす事で 友人であるという関係は崩さずに接する事を望んでいた。 恋愛感情を持ち合わせてはいないが彼の事は好きだったから。 正直、好かれているという状況を好んでいたのかもしれない。 自己満足、精神を満たす為に。
ドライブに誘われた。
え?っと思った。 だけど誘われた事は別に不思議ではない。 今まで普通に男友達とどこかに行くなんて事はザラにあった。 もちろん彼とも遊びに行った。 なんだかんだ言って高校生からの長い付き合いになるから。 でも、よく考えたら二人ってのは初めてだった。
『え?ドライブ?』あたしは聞き返した。 『そう。ダメなん?』彼も聞き返した。 不思議に思う自分がおかしい?考えすぎ? 彼の事は友人として好きだ。意識してる事を悟られたくない。 時間もその日に限ってたくさんあった。 『いいよ。どこ行こうか?』それが自分の返事だった。 変な心配をよそにドライブは普通に終わった。 考えすぎだったな、と思いながら別れる前の会話をしていた。 いつもどおりの他愛のない会話。 フッと会話が途切れた。 彼の方を向くと彼が真面目で寂しそうな顔でまっすぐあたしを見つめていた。 あたしと目が合った途端その顔を隠すように明るい声でこう言った。 『やっぱ、俺じゃダメなんだなぁ〜って思うよ。』 『?』 『気づいてないんやなぁ〜、この異様な距離。』 彼はそう言っていつも通りの大きい身振り手振りで 運転席と助手席の間をぶんぶん指差した。
あたしは無意識のうちに彼と距離をとっていたらしい。 助手席に座りはしたものの窓に貼りつくように距離を取っていた。 気づかなかった。自分で驚いた。
『えぇ!?そんな事ないよぉ〜』 私は出来るだけ明るい声を出して彼を見た。 ドキっとした。 彼はさっき見た寂しい顔をしてあたしをみつめていた。 恋愛感情のドキっとは違うドキっで胸が締め付けられた。 『2人で会うのは最初で最後かもな』 『・・・・・・・・・・』 『俺は何度でも会いたいけどこれは結構ツライよなぁ〜(笑)』 『・・・・・・・・・・』 『んな辛気臭い顔すんなって♪またみんなで遊ぼうで?』 『・・・・・・・・・・』
彼と別れた後、私は泣いた。 彼の傷ついた顔が頭から離れなかったから。 彼の気持ちにどうしても応える事が出来ないから。 ・・・・・・・・・・・それは建前かもしれない。
私はホントに必要としている別の人に会いたくて泣いていた。 彼に一人の友人を傷つけてしまった事を聞いて欲しかった。 抱きしめて、しょうがないよって言って欲しかった。 私が本当に必要としている彼の存在を確認したかったから。
ヤバイ事に、私は彼以外の人だとダメなんだと実感してしまった一日だった。 体も心も彼以外だと反応しない。 彼以外必要ないし、考えられない。 ここまで好きになってしまってたんだ。
そんな彼を好きで切なくて、 会いたくて、 抱きしめて欲しくて泣いた。
道路沿いを歩いていたから車を運転してる人には変な娘に映ったかもしれない。 そんな事は構いはしなかった。
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