2001年11月23日(金) |
母さん、東京は怖い所です。(笑) |
記憶をたどるように、忘れかけていた想いをなぞるように。 軌跡をたどるように、確かめるように駆けて抜けて行く。 初めギクシャクしたキモチも、いつの間にか消える。 薄皮を一枚一枚剥ぎ取って行く。
恐怖と緊張が快い。 恐怖を突き抜けた時に快感がある。 それは爽快ですらある。
愚かな行為と分っている。 怯えるココロもココにある。
でも、この匂い、この雰囲気、この緊張感。 言葉は無い、けれども確実に成り立つコミュニケーション。
意地と畏怖。
十分だと思っていたモノが、一瞬にして不足する。 どんどんのめり込んで行く。 周回を重ねるごとに対話が成り立って行く。 自分の得意な所、相手の苦手な所。 自分の苦手な所、相手の得意な所。
幾度となく前後を入れ替える。
いつのまにか汗だくになっている。 熱いのではない、もちろん冷や汗でもナイ。
興奮しているのだ。
たまらない。 たまらないんだ。 これ以上に興奮する事がドコにある?
もちろん、ワタシのレベルなんて知れた物。 相手のレベルも同じくらいだから、似た様なモノ。
でも、たまらなく楽しい。 楽しい?ってのは正確じゃナイな、たまらなく興奮する。 ココロが震えるのが分かる。
愚かな行為とヒトは言う。 そうだろう。違法行為だもんね。 ワタシもそう思う。 でも、そう言うアナタはコノ快感を味わったコトがあるのか?
遊びは、真剣にやった方が面白い。
アドレナリンが分泌されている。 一度味わった快楽はカラダが覚えている。
必死に包み隠したココロは、いまや丸裸だ。 刺激は直接ココロに届く。
恐怖よりも快感が脳を支配している。
冷静さを失い、強大な相手に立ち向かう。
”オーバースピード!”
予想外のチカラがカラダに掛かる。 シートにカラダが押し付けられる。 さっきまで、路面を蹴り飛ばしていた後輪の接地感が無くなる。 反射的に右足を緩める。 とたんにオーバーステアを誘発する。 ノーズが回り込もうとする。
こんどは脳が指令を出す。 ”アクセルを保て”と。 アクセルを少し踏み、旋回体勢を整える。
気が付くとテールランプが遠くなっていた。
右足を踏み込みたくなる。 ”まだダメだ” ノーズが出口を向くと同時に、アクセルを入れる。
弾き飛ばされた様に加速を始める。 距離を詰めつつ、2つの緩いコーナーを抜ける。
”この先の右コーナーが勝負だ”
それは向こうも気が付いていた。 これまでよりも大きく左に車体を振る。
でも、オレは驚く程冷静だ。 ココはオレの方が速い。 オレのライン取りを真似してもダメだ。 ラインはもう一つあるんだよ。
さっきよりも手前でアクセルを抜き、左に車体を振る。 半身だけラインを割り、緩やかに右に切れ込む。 切れ込むと同時に、アクセルは床まで踏み込む。
コーナーのアペックスを点で捕らえて加速を続ける。 コーナーの出口で左に列びかける。 必死で逃げるけど、無駄だね。 コッチは既にオイシイ回転数でフル加速中だ。 今からの加速では間に合わないよ。
車両2個分前に出ると、ウインカーを右に出し、前に出る。 入れてもらった(強引に入ったんですけど)お礼にハザードを炊く。 後ろの車が下がって行く。
完全にオレの勝ちだ。
オレの後ろ姿に、じたんだ踏んでるコトだろう。
次の右カーブが近付いてくる。 後ろの車が、がぜん元気付いてくる。 何故なら、次のカーブはワタシが苦手なのを知っているんだ。
いつもと違うラインを使いフェイントしてみる。 全然効果ナシ。 外から列びかける。 ワタシはまだアクセル踏み込めない。 その横をスルスルと前に出て行く。
ようやくアクセルを踏み込んだトキには、1車身ほど前に出ている。 本線への合流だ。 流れ的にはワタシが下がらざるを得ない。
「クソッ」と思いながら緩やかに目の前に入ってくるテールを見る。
本線合流。
午前3時半を回った湾◯線は、一瞬の凪の様にクリアだ。 一つ右の車線に車体を振り出し、ギアを4速に叩き込み、 アクセルを床まで踏み付ける。
回転数の上昇と共に加速。 レブのワーニングランプが閃光を放つ。 点灯は6千5百回転。
通常ならば、コノ辺りがオイシイ、コレ以上回しても加速感が落ちる。 でも4速から5速への繋ぎは別だ。 6千5百で5速に入れると、回転が落ち込み過ぎる。
もう少し回す、7千を越えた辺りで5速にギアを叩き込む。 5千回転より少し上のあたりから加速が始まる。
ジリジリと車間を詰める。
と、その横を”ギュバーーン”と34Rが2台駆け抜けて行く。 いつのまに後ろに来てたの? つーか、σ(^_^)メーター振り切ってるんですけど・・・
ふと我に帰る。 ”イカンイカン、こんな時間だ。帰って寝よう。”
母さん、東京は怖い所です。(笑)
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