ダンデライオン

 ぶらぶらと散歩。
 先を行く彼女は嬉しそうに原っぱで飛び跳ねて、タンポポやシロツメクサを蹴飛ばす。
 タンポポの綿毛が舞うのを見て、我知らず「ああ」と声が出た。


 まるで僕たちはタンポポの胞子
 たわむれてるだけ空の下で



 Blankey Jet Cityの「ダンデライオン」を口ずさむ。


 瞳閉じて思い出だけ見つめてちゃだめさ
 瞳閉じて映し出そう物語の始まりを



 いつの間にか歌う声が大きくなっていた。
 彼女は振り返って私を見上げた。
 しっぽを大きく振って、口角を上げて首をかしげた。
 こげちゃいろの瞳に私が映った。
 ね。この原っぱに、来年はきっともっとタンポポが咲くよ。
2005年06月01日(水)

メイテイノテイ / チドリアシ

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