台風が近付いているからか、 せみが網戸に避難にきている。 普段は夜にくることはないのに。 今日は2匹。 じっと網戸にとまっている。
1匹はアブラゼミだが もう1匹はひぐらしっぽい。
じっとながめていた。 こんな近距離は、 ひさしぶりかもしれない。
小学生の頃は、 夏休みはまいにちまいにち、 狩りのようにセミとりをした。 本能的に夢中になってした。 登校日も忘れるほど。
今思えば不思議な感じだ。
「せみとりいってくるわー」 長めのタモと籠をもって よくひとりででかけた。
最高記録は今でも覚えている、26匹。 ちっちゃい籠に全部いれて。 ミンミンバタバタしているのを、 自慢げに家にもってかえったのに。
父と母は、 「そんな狭いとこにかわいそう!」 とあんまり喜んでくれなかったのを よく覚えている。
父と母にそういわれて初めて、 蝉の数に対して籠がちいさい ということに気づいたのも よく覚えている。 とにかく とることに夢中だった。
とったせみは、 帰る時間に一斉ににがした。 おなかに赤い虫がいっぱいいた。 おしっこもよくひっかけられた。 あんなからからなカラダなのに、 おしっこがでるって不思議っておもった。
せみの脱皮は神秘的で美しかった。 天使みたいな白いやわらかい羽根。
ああ、 おもいだすと わくわくする。
あの本能的な喜びと、 ゆったりとした時間の流れと、 自然とふれた感触は、 けっこう宝物かもしれないなあ。
この辺の小学生も 夢中でせみとりしてるのだろうか? 今ならうちの網戸に2匹いるよ。
|