車に乗ろうと思ったら
浜の方から 竹のガムランのような音が 聴こえてきた。
誰かが流すラジオの音が 風に乗って聞こえてくるような。
なつかしい バリの濃厚な空気を 思い出す。
どこからきこえて くるのだろうか。
浜をのぞいても どこまでも 誰もいない。
でも 確かにきこえる。
オトコビトを 待ちながら
しばらく 車のシートに座って 耳を澄ます。
やっぱりきこえる。
ポンポンポポンポン ポポンポンポンポン
竹のガムランのような音。
バリの色を 思い出す。
あとからやってきた オトコビトに きいてみたら
オトコビトも きこえるという。
ずっと耳を 澄ましていたかったけれど もう出発しないと いけない時間。
だれかが バリにつながる窓を 閉め忘れたみたい。
うちの集落に バリの空気が 流れ込んできていた。
不思議だけど 普通のような。
この時期の奄美は まいにちが美しくて
現実感が うすくなる。
ひさしぶりに バリに行きたいな。
扉の開け方を 教えてちょうだい。
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