うさぎ日記 DiaryINDEX|past|will
認知症になる前に、母がつくった押し花の額。 母が一番気に入っていた作品。 あるかたの息子さん、付き合っていた彼女と結婚することになり、 両家、親戚、友人を招いて婚約披露のパーティーの席上、 急に彼女の気分が悪くなり、救急車で病院へ。 残された御客は「悪阻か?」などと呑気なことを言っていたが、 病名は「脳幹出血」だった。 意識不明のまま集中治療室から出て来た彼女は、治療を続けた結果、 介助があれば、車椅子で外出も出来るようになったが、 自分の意思を伝えることができないひととなった。 回復は難しいと言われた彼女の両親は、そのかたの息子さんに 「婚約を破棄して欲しい。」と、申し出られたそうだ。 息子さんは、「どんな姿の彼女でも結婚したい。」と言われたそうだ。 「5年待ちます。」と、そのかたは相手の御両親と息子さんに告げたそうだ。 「自分で車椅子を操作して、自分のことが自分で出来るようになったら、嫁として迎えます。」 と。 5年後、彼女は回復しなかった。 5年間、彼女の元へ通って、介護にも参加されきたそのかたと息子さんは、 彼女の心中を思うと、身を切られるようではあったが、婚約を破棄したと言われた。 「ほんとうにねー。たとえ車椅子生活でも、最低自分のことは自分でできて、少しでも会話が出来たら良かったんですけれどね。 全部、ひとの助けが必要で、彼女が何を思っているかも解らないのですから。」 「それで結婚生活では、息子さんが可哀そうですものね。」 「そーなんです。彼女も可哀そうだけれど、息子も可哀そう。 婚約破棄は辛かったですよ。今でもその時のことを思うと辛いです。」 最低限の自分ことが自分で出来ない。意思の疎通が出来ない。 というのは、認知症も同じです。 どんな姿でも、共に暮らすことがどんなに辛くても、そういうひとを見捨てることはもっと辛い。 御意見ご感想はこちらへどうぞ
桃青
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