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現地設計会社とのミーティングとか - 2003年08月06日(水) 二日間に及ぶ結構疲れる業者とのミーティングの翌日の今日は、契約を結んでいる現地の設計会社とミーティングを行った。この会社にはウチが作成した図面や計算書がカザフ国内基準に合ってますよ、と言う承認を貰う機関として働いてもらっていると同時に、ある部分の設計も発注している。本日は我々が出した計算書や図面についたコメントを潰すため、一日を割いてやって来た。と言っても、この会社があるのは我々の事務所から車で10分程度の近所であり、しかも一日もかからず2時間半くらいで終わってしまったが。 彼らは英語を解さないので、今日は通訳をお願いすることになった。通訳は我々の会社で何人か雇っており、客やこのような協力会社と話す際に一緒に来てもらう。通訳は日露通訳、だと良いのだが、さすがにそんな奇特な通訳はいる筈が無く、全員英露通訳である。本日、私の通訳として活躍してくれるのは…名前忘れた。確か私より若干年下くらいの女性である。国籍はカザフだが、人種はロシア人。従って、カザフ語は殆ど話せない。とは言え、私にしてもカザフ語は一単語たりとも全く知らない訳だが。 その設計会社に着いて、暫く待って、設計部隊の部屋に通されたのだが、エンジニアは全員おばちゃんだった。特にその中の一人は典型的なロシア人のおばちゃんと言う感じで、無茶苦茶デカい(横にね)。この素晴らしい女性たちを相手に、通訳を介して2時間半のミーティングを行った。行く前に「通訳通すとイライラするぜ」と言われたのだが、今日の感想としてはミーティングをしている上でストレスは全く感じなかった。理由は、 (1)通訳が優秀で、私が表現を変えて身振り手振り説明する必要無く私の言うことを理解していた (2)おばちゃんの回答も分かりやすいものだった(これも通訳の技量か) (3)通訳がロシア語でおばちゃんと話しているとき、私はメモを取るなど余裕あるミーティングが出来た などが挙げられるが、要は通訳が良かったから、と言うことになるだろう。翻訳が素晴らしいと海外の本も読みやすいと一緒か。 昼後、若干時間が出来たので、今までの報告を机で纏めていたのだが、プロジェクトのOさんが私のところにやって来て「現場調査するの手伝ってくれませんか?」とお願いしてきた。私自身、今日を逃すと恐らく現場を見ることが出来ないと思っていたので、是非行きますと言うわけで、ヘルメットをかぶって安全靴を履いて、Oさんと一緒に現場に向った。 ところで、製油所や化学プラントなどは、外部からの調査などを固く禁じている場合が多い。配管径を見るだけで技術情報が漏れるらしく(私はそこまで分からない)、特に動いているプラントの心臓部があるサイトなどは、製油所の人間が一緒にいないとサイト内に入ることも許可されない。写真を撮るには別途申請が必要など、かなり面倒臭い。 しかし、今日昼飯を食べていた時にAさんが 「ここは全然うるさくねえから、申請なんていらねえよ。入構パス持ってりゃ大丈夫だよ。」 と言っていたので、ああそうなのか、と思っていた。Oさんにしても今まで何度も近くのサイトに入っていて何も言われたことが無かったので、全く気にもしていない様子だった。 まあここまで前振りしておけばオチが分かると言うものかも知れないが、結局これは全然間違いであった。 目的地に到着して既設プラント内の距離などを測っていた。ここに我々は追加で施設を作るのだが、既設プラントの図面などは無いので、実際に調査してどのくらいの長さのところに何が置いてあるのか、などを調べなければならないからだ。私は鉄骨構造物の担当者で、かつ本社から来た調査依頼も構造物関連のことだったので、ここの柱をこうやれば大丈夫でしょう、などと話していた。 そしたら、製油所の職員二人がやって来て、ロシア語で何かを話し続ける。だが、我々は当然ロシア語などは分かる筈も無く、彼らが何を言っているのか分からない。ただ、何となくこの辺にいるのはダメだぞ、と言っているのは分かる。とにかくオフィスへ帰れ、と言う風に言っているようだったので、調査途中で我々は帰る事になった。ただ、帰る寸前でもOさんは「ここだけは調査していいだろ」とか言っていたのだが、そんなこと言っている余裕が無かったのは、後で分かった。 とぼとぼOさんと歩いている時、後ろから無茶苦茶ボロいソ連製と思しき車がクラクションを鳴らし、我々を止めた。中から出てきた職員にまたロシア語で話しかけられたのだが、当然理解できない我々は、どうして良いのか分からないという風情で突っ立っているだけだった。するとその職員は、車に乗れと言って後のドアを開けた。Oさんは「おいおい、何処に連れて行かれるんだよ」と言ったのだが、私はこの時、暑いからオフィスまで送ってやろうと言っている、と言う全く勘違いもいいところの理解の仕方をしていた。これが間違いだったのは、これまた後で分かるのだが。 我々を乗せた護送車のような車は、私の理解をはね付けて我々のオフィスのビルを抜け、門を出て安全対策室のようなものがあるビルに到着した。ここで降ろされて、安全管理の責任者みたいな偉いさんがいる部屋に通され、結果的にここで説教食らうことになった。 要は許可も取らずプラントユニット内に入ったのがそもそもの法律違反で、この違反を犯したものは入門証の取り上げとプラント内への入構禁止と言う措置を食らうことになっている、とか言われた。おいおい、いきなり初出張でいきなりプラントから締め出しかよ、とようやく私は事のダメさ加減に気付き(遅い)、急に不安になってきた。 「君たちは安全講習会に事前に受けて、ユニット内に許可無く立ち入ることが禁止されていると知っていたはずだ」 と威厳に満ちた責任者は言うのだが、実際は安全講習会では読み上げられる文章をボーっと聞いていただけで、内容の理解など殆どせずにいたのである。 「私達は君たちがここで仕事をするということで、カザフスタン共和国何とか条項の抜粋部分をカザフ後・英語・トルコ語(下請けはトルコ業者)で用意したのに云々」 と言われ、全く返す言葉がございません、と言う感じで説教を受け続けた。 「今回に関しては特別に許すが、次回同じ違反をやった場合は入門証を取り上げて、プラント内への立ち入りを禁止する措置をとるので、注意しなさい」 と言われ、ようやく放免となった。 事務所に帰ると、すでに製油所の偉いさんから我々の会社の現場事務所上司にお怒りの電話が入っていたようであった。だが、例えば昼に「大丈夫」を強調したAさんは、 「いやー、悪ィな。俺も昼に大丈夫とか言っちまったからよ。」 と言う感じで、別に我々に説教をかます風情ではない。 「まあ、一応始末書みたいのを書かなきゃいけねえとか言われたからさ、とりあえず目的と何やってたのかだけ書いて俺に渡してくれよ。そしたら俺の方で、『こいつらはけしからんから、今月の5%減給します』とか書いてすいませんでしたって言っとくからよ。」 と言われた(減給は当然ウソだが)。 すると我々のマネージャーのYさんが入ってきて、 「いやー、捕まっちゃった?さっきいきなり電話が入ってよ、『二人が見つかったらしいが、何してんだ』とか言われちまったよ。」 と、これまた言ってきた。 「だってよ、俺たちだってプラント内歩いていたのに、何で今日はダメなんですか、って感じだよな」 とYさんは続ける。するとAさんは、 「まあ、取り敢えず反省文みたいの書いてさ、俺の方から『けしからんから10%減給します』とか適当に書いて出しますわ」 と言う。 いや、さっき5%って言ってたじゃん。 -
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