小馬鹿なさっかの処刑人日記
GET TO HEAVEN.
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2001年06月07日(木)
美容師に気をつけろ

時間がないけど髪を切りたい、と切実に思ったとき、
神は私に試練を与えた。

学校の近くの近代風な美容室に入る。
「五時半までに終わりますか?!」
「大丈夫です」
ベテラン風のおやじが奥から出てくる。

おやじはベテランだった。
が、
センスもわりと古かった。

前髪異様に短い。全部重くそろってる。
しかもけしてかわいくなく、おかっぱ風味。
かなり残念な結果。

というかさあ、ざくざくすいてあって、
外側とかにぱひゃぱひゃはねてる髪型を、
「このままちょっと短くする感じで」
っていう注文でさあ、
こうまでも、きちーっとそろえるか?! 親父!!
「ちょっと短めにしてください」」
っていう注文でさあ、前髪を眉上3センチまで切るか?!
親父!!!!!

慌てた私は翌日、
無理矢理学校を自主休業して、
いつもの地元の美容室に逃げ込んだ。
陽気なにーさん登場。まずイスに座らせてくれる。
「やられてしまいました! やられたんですよ!」
「や、やられたっ……て?」
にーさん混乱。

一部始終と私の希望を聞いて、やっと安心のカット開始。
にーさんは、前髪のあまりの短さにやはりビビり、
「ちょっと短くしてくださいで、
 ここまで切られてしまうのか……」
とつぶやいた。
確かに親父は調子にのりまくってザクザク切りやがり、
最後にザクザクそろえやがった。
それを聞いてにーさんつっこむ。
「ちょっとはつつしめ! って感じだよなー」

しかしこのにーさんにも、軽い問題はある。
たとえば、私がいつものように、
ジーパンに赤い下駄をつっかけて美容室を訪れ、
将来の夢を聞かれた時のことだ。
「一応今は、社長になる、と言い張ってます」
と回答したところ、
「なりたい、とかじゃなくて、なる、なんだ……。
 それはもう社長だろう。
 よく、変わってるねー、とかって言われない?」
と言われたので、
「いやいやいや、私はいたって普通ですよ!!」
と、真実を教えてあげた。
するとにーさんはつぶやいた。
「社長になるって下駄で言い張る奴が、
 普通な世の中になっちゃったのかぁ……」

なんでそんなに悲しそうなんだ。

さらに、家で使うワックスやムース、スプレーの話になった時。
「やっぱり値段に負けちゃうんですよねー。
 あと、おどり文句にもけっこうやられちゃうんですよー。
 風になびいてさらっと戻る! ってムース買ったときは、
 友達に『それは嘘だよ』って言われましたよー」

にーさんは、3秒ほど黙ってから感想をもらした。

「値段とおどり文句に負けるのか……。
 弱いなあ…。なんて弱いんだ……」

そしてゆっくりとにーさんは、自分のを指さした。

「このへんが………」

し、失敬な!!!

そう。
このにーさんは、私がありがたーーいお客様だということを、
よく失念してしまうのである。

お前も少しはつつしめ!!

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 noted by さっか