小馬鹿なさっかの処刑人日記
GET TO HEAVEN.
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2003年06月03日(火)
エピソード1

ゆうちゃん(いかれアート系)が来た。


横浜から新川崎までは横須賀線で一駅、10分程なので、
横浜に着いたら連絡してくれ、と言っておいた。
届いたメール。
「川崎、そんなのはない〜」
…川崎は、ある。しかもうちは新川崎だ。


二年ぶりに会ったので、服の雰囲気などは変わっていたが、
いきなりバシバシ叩かれた。
「わぁ〜ひさしぶり〜!(バシバシ) 変わらないね〜!」
まさにゆうちゃん。
しかし私はいい加減、皆に「変わらない」と言われるのに飽きた。
「え〜、あ〜、髪型は変わったね〜!」
ナイスな慰め方だね。


私の部屋に入ると、とりあえず探査にかかるゆうちゃん。
クレジットカードを発見し、
「うわ〜! これ持って帰っていいの〜?」
新しい発想だね。


「鯖味噌煮」という言葉に反応して、
フォークから食べかけのケーキがポロッ…。
「違うんだよ、鯖の味噌煮に心奪われたんだよ〜」


原稿を手伝ってもらっていると、
「絵描きたぁ〜い! ここに落書きしていい?」
…それは下書き済みの原稿用紙だ。
「でもよく漫画とかで、枠の外に絵があるじゃん。
 ムンクの叫びとか描いてあるじゃん。
 ムンク描きたいよ〜」
いいからベタ塗れよ。
やがて、星空のシーンを一生懸命描いてくれたゆうちゃん。
「ああ、宇宙って、偉大だなぁ」
悟りやがった。


奴とは久々に会ったので、お互いの近況についても話が及んだ。
ゆうちゃんは体調不良で学校を休学している。
休学申請が一年単位でしか出来ない学校なので、一年間休学なのだ。
何かと鬱屈することが多いらしい。
先日は、親が海外旅行を禁止するのに抵抗し、家出をしたそうだ。
「伊豆に行ったよ〜」
……。
旅行じゃん?
まぁ、友達の家に転がり込んだりするよりは、ずっと健全だなあ。
でも家は大事だよ。
「うん、家に帰ったら、家も案外居心地よくてさ〜。あはは」
この子は大丈夫だと思った。






というわけで、久々にゆうちゃんと楽しい時間を過ごした私。
ゆうちゃんに「君アタマおかしいよ」とかツッコミを入れてると、
広い世界の片隅に、自分の居場所を見つけた気分になれる。
私にもまだ役割が。


ゆうちゃんはアタマがおかしいので、
一般の人と一緒にいても理解されず、それが苦痛となる。
常識から解き放たれた自由な世界を求めるゆうちゃんは、
やはりアタマのおかしい彼氏と付き合い、
ケーキを食べたりケーキを落としたりしながら、
時折ふと涙を流して温泉地へ行くのだ。


解説になってないけど、そんなわけで。
私は原稿があるんで。





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 noted by さっか