小馬鹿なさっかの処刑人日記
GET TO HEAVEN.
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2004年02月22日(日)
脳波メモ3

「相手の気持ちを考えなさい」
いわゆる「優しい人」たちは、こんな言葉を胸に秘め、
相手のためによかれと思って行動したりするようです。
そんな「優しい人」の真の姿は大抵、
むしろ自分に優しい人、つまり他人に嫌われたくない人です。
そうしたいわゆる「優しい人」ではない人でも、
あの子には優しくしてあげたいな〜、などと思う時は、大抵は、
その子に嫌われたくない時です。
ですから、いわゆる「優しい人」という人は、ちっとも珍しくありません。
ほとんどの人が様々に、誰かに優しくしようとしていることでしょう。


さて、では実際に「相手の気持ちを考え」て、優しくしようとしてみると、
これが全く難解きわまりないことで、なかなか上手くはいきません。

たとえば私の友人の恋人は、資格試験の勉強中でした。
そこで友人は、「あまり頻繁に電話をかけては迷惑だろう」と考え、
連絡の回数を控えるようにしたそうです。
しかしその恋人は、「連絡が少なくて不安だ」と言いはじめ、
口論の結果、2人は別れてしまいました。

別の友人は高校生の頃、上級生と仲が悪い下級生たちを見て、
「先輩からものを教わる機会が無くて困っているだろう」と考え、
後輩たちに可能な限り、親切にしたそうです。
しかし先輩には「後輩に媚を売るな」と警告され、
後輩には「上と折り合いが悪いから居場所を探している」などと非難され、
まったく親切をするにも苦労したようです。

逆に、ちょっと親切にしただけのオジサンに愛されちゃって、
逆恨みで知り合いの男性を殺されちゃったという女性の話もありますね。
なんとも難しいものです。

こんなことが毎日毎日、飽きもせずに世界中で繰り返されているようで。
たしかに、相手の立場に立ってものを考えようとしない人は、酷い人ですよ。
しかしかといって、相手の気持ちを100%理解するなんて、
超能力者じゃあるまいし、絶対に不可能なんですよね。


考えても考えても、悩んでも悩んでも、
どうしても裏目に出たり、皮肉な結果になったりするんだとしたら、
もうこりゃひとつ「自分で納得いくように」やるしかないんじゃないでしょうか。

悩んで自分を押し殺し、相手のためによかれと思ってしたことが、
まんまと裏目に出たんじゃほんとに最悪です。
それで「優しくしてやったのに〜」なんて、不満が増幅してもねえ。
とにかく相手のことなんか、人間だから考えも変わるし、
いくら悩んでも理解できっこねぇよってことですよ。
相手もこっちの優しさなんて、あんまりわかっちゃいないんです。
私も正直、誰かが何か考えて優しくしてくれたとしても、
細かい部分じゃ全然わからないですし。

ただ、自分のことならはっきりわかります。
だから、自分が納得いくようにやるしかないわけです。
こうなってくると、他人に些細なことで嫌われたくないとか、
些細なことをして些細なことで些細な思いをさせたくないとか、
そんな些細なことは一切合財気にしてられません。
これで良いだろ、と思うとおりにやったるしかないわけです。


他人の行いに関しては、常に「少欲知足」でいたいものです。
相手には期待せず、足りておく。そんでいいのではないですかね。


その人のためには、今こうするのがいいんじゃないか、
いいにちがいない、ええい、些細な行き違いで些細に嫌われてもまあ仕方無い、
その人が今後幸せならそんでいいんじゃないか、
でもまあ人生いろいろだから、うまくいかないこともあるかもしれないけど、
それにしたって自分じゃ納得できる決断だったんだからいいんだよ、と。

そんな人がいたら、そのひとは本当にすごく「優しい」ような気がします。
すくなくとも私は、いいんじゃないかと思うんですが。

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 noted by さっか