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2003年05月05日(月)


見たくないものがあります。
会いたくない人がいます。
行きたくない場所があります。


行き着く先は辛くなるから、ということ。



この街に住むようになってもう少しで3年になります。
楽しいこともいっぱいあって、だけど、それと同じ分だけ辛いこともあった。
思い出しても何とも思わなくなった昔の恋や
今でも思い出すと辛くなってしまう恋、いろんな友達と出会ったこの街で
ワタシは今でも元気に暮らしています。



仕方なく見たくないものを見なくてはいけなくなったり
偶然、会いたくない人に会ってしまうことがあったり
でも、それは一瞬だからすぐに忘れてしまうことなんだけど。





瞼が腫れあがって右瞼が一重になる。
大嫌いな夏が来る。
どんなに気にしていても、汗は出てくる。
どんなに薬を塗っても汗には勝てない。
こんな自分の体質を恨んでも20年も付き合ってきたものは離れない。
小学生の時、手首にひどい湿疹が出て、どうしようもなかった。
眠っている時に痒くてかいてしまって、余計ひどくなって
包帯を巻いて学校に通っていた。
少し良くなってきたら乾燥させるように、と包帯をはずして行った。
少し曇りの日だった。今でもはっきり覚えてる。
包帯の巻かれていないワタシの手首を見て「きもちわりー」男の子が言った。
ワタシには見慣れた湿疹だけど、クラスの人にはただ気持ち悪いモノでしかなかった。
その日からワタシはクラスで独りぼっちになってしまった。



人にうつるものでもないし、触ったって何にもおきやしない。
だけど小学生にそんなことが理解できるはずもなく
ワタシはひたすら、そのコトバを受け止めていくしか出来なかった。



その湿疹は涼しくなるにつれて無くなって、
大人になるにつれて良くなっていった。



20歳になって、汗をかいても手首や首に湿疹が出なくなった。
だけど、その代わりに、手が荒れるようになった。
指先は洗剤を使うだけでボロボロになるようになってしまった。
どうしようもない。食器を洗う時はゴム手袋をつけるようにした。
1人暮らしを始めて東京の空気や水が合わなくてひどくなった。


ひどくなれば、指の間には湿疹が出来るし痒くなるし
赤くはれ上がることもある。



そういうワタシの指先を見て「どうしたの?」と聞かれないわけがない。
この学校に入って一番最初の夏、やっぱり聞かれてしまった。
思い出すのは小学校時代のこと。
昔と比べてよくなったとはいえ、やっぱり痛々しかったりするし
出来れば隠したいと思う気持ちは変わらなかった。
「ちょっとね。アレルギーみたいなものなんだ。」
それしか言えなかった。
「手荒れって大変だよね。早く良くなるといいね」
思ってもいなかった言葉が返ってきて、びっくりした。



気持ち悪いって思われていたことをずっと気にしていたけど
成長するにつれて、考え方も変るんだなってすごく実感出来た。



今年も大嫌いな夏がくる。
日焼なんてしない。
外にも必要以上出ることはしない。
それはワタシを守るため。
大嫌いな夏から逃げるための唯一の方法。



大嫌いだから、夏服はそんなに持ってない。
出かけることが少ないから、必要ないんだ。
でも今年は暑い外を長袖のスーツを着て歩き回らなくちゃいけない。
そう考えると、もううんざりしてしまう。
どくだみ茶を飲んで必死に抵抗しても
皮膚科に行って薬をもらって塗っても
ワタシの皮膚は治らない。
これから一生ずーっと付き合っていかなくちゃ。



がんばっていこう。



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