【復活!】ダイエットなDIARY
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2001年06月14日(木) 書名





山中恒という作家をご存知だろうか。
児童文学者であり、男と女が入れ替わってしまう『おれがあいつであいつがおれで』という作品は、大林宣彦監督によって『転校生』というタイトルで映画化されているのでご存知の方も多いかと思う。その他に『さびしんぼう』『はるか、ノスタルジィ』『あの、夏の日 −とんでろ じいちゃん− 』なども同じ山中・大林コンビの作品である。

山中恒はノンフィクションの分野でも『ボクラ小国民』という名作があり、これは研究者にとっても資料的な価値が高く、シリーズ化している。

さて、先日、彼のエッセイを読んだ。それがとても面白かったのでちょっと紹介する。

彼は、すでに心筋梗塞やガンなどの大病を克服しているそうだ。そして、ガンを克服したときに、成人の死因ワースト3のうち2つもやったのだから、この体験を本にしてはどうかというオファーが某出版社からあったそうだ。
その体験は、単に病気を克服したというだけではなく、闘病の過程で現在の医療制度に対し相当な怒りを覚えたらしい。現在では、良い病院と悪い病院、良い医者と悪い医者を自分で判断しなくては生き残れないのである。
そうした怒りなどをぶちまけた本を執筆しようということで、出版社のオファーを受けた。書き終わってみると、すっかり満足してしまい、本のタイトルをつけるのを忘れてしまったらしい。あとから編集者から電話があり、そのことを知った山中氏は、「適当に売れそうな題名をつけてください」と言ったそうである。

タイトルを忘れた、というのもすごいが、それを人任せにしてしまうところもさすがである(笑)。

そしてさらにすごいのが、その担当編集者のつけた以下の書名である。


『オレは陽気なガン患者−心筋梗塞もやったぜ!−』


あまりといえばあまりなタイトルであるが(笑)、この書名のなかでも特に「やったぜ!」の部分が一番工夫したところであり、「この『やったぜ!』に他の患者の方も励まされ元気が出る」のだと担当編集者は電話で力説したらしい(笑)。
山中氏も、「そうですか、それならそれで行きましょう」とOKを出したのもさらにすごい。

幸運にもこの本は売れたらしく、第二弾まで出ている。
第二弾は以下のようなタイトルである。


『患者は客だ! 正しい医者の選び方教えます』



ちなみに『やったぜ!』の方はKKベストセラーズから最初出版され、現在はどちらも風媒社から出ていて、入手可能である。
書店や古書店などで見かけたら、手にとってみることをオススメする。

また、昨年暮れ、真珠湾攻撃の日には


『新聞は戦争を美化せよ! 戦時国家情報機構史』


というのも出している。これは小学館から出版されたノンフィクションのシリアスな作品であるが、なんかタイトルのつけ方に微妙な影響がみてとれる(爆)。

恐るべし、KKベストセラーズ。



長らく更新がなかったが、何事もなかったかのように更新してみた(笑)。


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