2001年11月25日(日) |
WJ51号ネタバレ乾貞治に関する考察 |
前回脳天気に乾さんのレギュラー復帰を喜んでいた私ですが、今号を読んでそんな自分をちょっと反省しました。 同時に許斐先生のストーリー構成力に脱帽。
乾さんと言うのは、データ主義だけど観月と違ってデータ至上主義ではなく、データの限界をよく知っている人だと思うんです。 だから王子やら海堂やらに負けた時にもああいう態度が取れたんだと思う。 頭の良い人だから自分が身体的に余り恵まれた能力の持ち主ではないと知っていたし、逆に頭脳的にとても恵まれていると言うことも良く知っていた。 データに限界を感じてはいたけど、それでも青学NO.3に相応しい活躍が出来ていたからある意味、自己満足していた部分があると思うんです。 俺は取りあえずこれでいいんだ、みたいな。上限を自分で決めていると言うか。
その彼は、レギュラー落ちして新しい可能性を見い出す程度の精神力とかそれを実行する行動力とかそう言うものはあったんですね。 それが今号の乾さんだと思います。
いきなりジャンプ的な商業主義の話になりますけど、人気投票4位の桃をレギュラー落ちさせてまで10位の乾さんを引き上げるって言うにはそれなりの説得力が必要だったんだと思います。 桃って言うのは、とても分かりやすく格好良いキャラ。本来『少年ジャンプ』の読者の主体であり、編集部もやはりターゲットの中枢に据えているだろう小学生から高校生くらいの男の子の読者にはどうしたって桃城は王子に続くくらいの人気があると思われます。 女の子を守るような男気があって、予想を突き破るような強さの持ち主。 桃城が好きな男の子たちには乾のデータテニスは、「セコい」になっちゃうと思うんですよ、どうしたって。 大体乾みたいなキャラ自体が普通だったら主人公の敵キャラで主人公にコテンパンにされるっていう感じじゃないですか。逆に桃は普通なら主人公ですよ(それが家来に成り下がると言うのが「テニスの王子様」のスゴイところです)。
許斐先生は、そんな桃城の派手な格好良さではなく、自分のスタイルに一度見切りを付け、その路を貫いて新たな境地を見い出す乾のような格好良さもあるんだと言うことを示したかったんだと思います。事実一度行き止まりを見た路を歩み続け上を目指すなんて言うことは滅多に出来ることじゃない。 というか、ジャンプタイプの格好良さじゃないですよね。青年誌とか社会人ターゲットの漫画とかなら見ることが出来また、指示される格好良さ。 学校では仲間を卑屈になることなくサポートし、影で想像も付かないような練習を重ねた結果が今不敗神話を誇る手塚と対等に戦っていると言う事実です。 竜崎先生の「奴は決して努力を怠らなかった」という台詞、最高の褒め言葉だと思います。 乾貞治は本当に格好良い。本当に男らしい。彼のレギュラー復帰を改めて歓迎したいです。
そしてそこまでしないと得られない『青学レギュラー』の座なんだと、許斐先生はこれからの関東大会に向けて「テニスの王子様」を支える土台を強化したのでしょう。
桃はこれからリアルタイムで1年はダサジャーの時代が続くと思われますが、彼にはきちんとあのジャージを着て貰いたいです。そして『このままでいる俺じゃねえ』って言ってもらいたい。現実を受け入れられる強さは彼にもまたあると思います。 レギュラー落ちから今だ桃城は紙面に登場していませんが、許斐先生の桃観が反映されるであろう彼の登場を楽しみに待ちたいと思います。
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