我が家の真後ろの家は、ずっと売りに出ていた。
そこもいろいろ訳ありのお宅で、 最初の頃は 奥さんと 小さな子供が二人いたのだが、 いつの間にか ご主人一人だけになってしまった。
お若いご主人は、金のネックレスをして、 屋根のないBMWとか とにかく車が好きなようで 見るたびに違う車に乗っていた。 庭にも、車の部品、残骸?タイヤ等、みるみるうちに山積みになっていた。
売りに出ても、その残骸は そのままだった。
しばらくして、一人の男性が 我が家に訊ねて来た。
「後ろの家を買いたいんですが、 あの家、競売物件なんですが、 自殺とか事件とかあったわけじゃないですよね?」
「いいえ、そんなことはありませんよ。」と私は答えた。
「だけど、あの庭の車の残骸の山は、いったい何なんですか??」と、彼は 心配そうに聞いた。 私は 「さあ・・趣味だと思いますが・・・。」と答えた。 善良そうな男性は、繰り返した。 「趣味ですか・・・。」
趣味だと言われては、黙るしかない。
パソコンの部品集めるのが 趣味の人とか、 フィギュアを集める人、 バラを集める人 趣味とは人それぞれだしね・・・
その人は 買わなかった。
暮れ近く、不動産屋さんが、一生懸命 残骸を片づけていた。 庭の草も刈って、車好きご主人が気まぐれに植えたススキも 草刈り鎌で、一生懸命刈っていた。
庭は きれいになり、家もすべてリフォームされ、無事に買い手がついた。
先週 明るい御家族が 引っ越しの挨拶に来た。
ずっと暗かった後ろの家に、毎晩 明るく灯がともるのは、こちらも なんだかほっとするものだ。
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