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2001年08月24日(金) 爪の先

 六本木の真中ビルの林に囲まれた処に、古い木造の家が在る。ガラス戸をガラガラと音を立てて開けると、タタキが広くとられていて、まるで土間のような造りの奥に板場が続く。フローリングと呼ぶとあまりにも軽い感じがしてしまうほどにそこは、飴色になった木の温もりを感じる。その艶やかな場所が本日の目的地。
 サロンと称するところより驚くほどの低料金で、そして丁寧に仕上げてくれる爪の美容院(ネイルサロン)である。ここは、皆に紹介したいけど誰にも知られたくないって気持ちにさせる、とっておきの場所である。店内は決して煌びやかではない、店内を飾り立てる装飾は無いが、店内全体から漂う落ち着く雰囲気がむしろ贅沢さを感じる。作業台と呼べそうな机が二つに椅子が数脚あるだけ、その椅子も揃いのものでなく客が自分に合った椅子を選ぶ。
 彼女一人で作業をするためにどうしても予約制になってしまうが、覗いた時に彼女が居ればカットぐらいはしてくれるかもしれない。客の半数は自宅に彼女を呼ぶが、生憎あたしの家からは遠いので呼ぶことが出来ない。しかし、呼べる距離に住んでいたとしても、あの店内を見てしまったらあたしから出向くのは全く苦にならないだろう。
 今回彼女の店を訪れたのは、なにも綺麗に装飾された爪になるためでなく、二枚爪になったところを修復するためである。通常サロンであればマッサージやらオイルやらを施されて数千円のところを、彼女であれば同じことをしても千数百円なのである。それをまったりとした空間を味わうことを含めて考えると、居ても立っても居られなくなって彼女のところに向かってしまうのだ。その店のお得いさんは土地柄、外人が多い。日本に滞在することになった外人のお客さんは、ネイルサロンを女性対象にしていることや、普通のネイルサロンの料金の高さに驚いたのだそうだ。彼女一人で始めた店の料金設定は、近くに滞在している数人の外人客と決めたらしい。もちろん店内も男性客も入りやすいようにと。町で見かけるネイルサロンと同じ薬剤やマニキュアを使用しても、充分採算が取れるとなると、巷の店のなんと高いことか。
 好きなCD持参で彼女の店を訪れ、のほほんと珈琲を飲みながら彼女と会話をして気が付くと二枚爪が修復されていた。次の予約の客が来るまでの間、彼女との他愛もない話しは続く。そろそろ次の客が来る時間だと彼女が支度をし始めたので料金を払い身支度をしていると、なにやら外が騒がしい。ガラス戸越しに見ると、一人の金髪の巻き毛少女が目隠しをされたまま数人の少女に手を引かれやってきた。全員が店に入ると目隠しを外してあげていた。視界が広がった少女がきょとんとしていると、Happy birthdayの大合唱。ねずみ花火のように騒ぐ少女達。どうやら彼女達は、誕生日の少女のためにサロンを予約していたようだ。
 頬を染めて色を選んでいる少女達を後にして、店を出た。

 外人の住居者が多い処ででDeliveryを頼むと、凄い量で驚くことがある。
 都会がいちがいに高い料金というわけでもないんだな。


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 某ツーショットチャットで、
 友人と待ち合わせと待機メッセージを出しているにも関わらず
 色んな人が入ってくる。居座られるのが厭な場合。
 ホストには入室者を強制退出させるボタンが付いる。
 とても便利だけど、やっぱりそのボタンを押した時は気分が悪い。
 けど、思わず吹き出すこともある。



SYSTEM 猪木さん(男)が入室されました。

猪木 : げんきですか〜?

あたし:はあ?

猪木 : いくぞ〜

猪木 : 1

猪木 : 2

猪木 : 3

猪木 : ダあ〜〜

SYSTEM 猪木さんがキックされました。



香月七虹 |HomePage