+女 MEIKI 息+
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香りに弱い。 強烈なのがデパート一階の化粧品売り場、それぞれの粒子が漂い交じり合いどんよりとくすんだ空気が肺まで進入してくるように感じる。そこでモタモタしていたら、くしゃみ連発で情けない顔になる。慌てて乗り込んだエレベーターの密室に居合わせた頭から香水を浴びたように匂う女性にも辟易する。もうそうなると、小学校の頃の避難訓練よろしくハンカチで口と鼻を塞ぎ、ただただ目の前の防火扉が開くのを待つ心境である。そこで格好つけて普通にしていようものなら、鼻水垂れた情けないヤツが出来上がる。 人に連れられて寿司屋のカウンターで嬉々として食事をしている時、近くに社長さんらしき人が連れてきた煌びやかな姉ちゃんもえてして粉っぽい匂いを放つ。途端に食べ物の味が判らなくなる。ラーメン屋のカウンターで煙草も然り。 よく行く寿司屋は、そこそこの値段でとても美味しいものを沢山食べさせてくれ、酒の呑めないあたしでもとても美味しく肴をいただける店である。先日もその店のカウンターで食事をしていると、数人の姉ちゃんを連れた業界系オヤヂがあたしの隣にゾロゾロと座ろうとした。そこで店の旦那さんが、店員に奥座敷に通すように指示するとその客は「寿司屋はカウンターに限る!」と頑としてカウンターにつこうとした。渋々旦那さんは諦めるのかと思ったが、さにあらず「すいませんね、ネタが腐っちまうからお帰りください。」と言い放った。一言二言文句を言いながらも、その匂う数人は店を出て行った。これからもその店は通ってしまうんだろう。旦那さん大好き。
香水が嫌いなように思われるが、そうでもない時もある。 本屋で本を選んでいた女性が、ふっと後ろを通り過ぎたときの良い香りに女ながらも「くっー!」と思ったりもするのだ。それは女性だけと限らず、男性の香りも同じである。某化粧メーカーのある香りをつけているってだけで、あたしは無条件にクラッときてしまうものがあるぐらいだし。これは一種のトラウマなのだろうかと自分で思う程に、付き合った男性は何故かこの香りをここぞと言う時につけていたように思う。反対に言えば、その香りに気付いた時点で、あたしはそちらに倒れこんだのだろう。例えばそれは翌朝、シャワーを済ませてアフターシェービングローションにその香りを使用されたら、チェックアウトの時間そっちのけで、再びベッドに押倒してしまう程に弱い香りがあるのである。 世の殿方、気をつけ召され。少なからず、こんなヤツも居るのだから。
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