+女 MEIKI 息+
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2002年06月28日(金) 外出


 奥歯を噛み締めながら心とは裏腹な言葉を吐かせたら、天下一品だろうと想像させる(自己申告によれば、ふつー)の、お姉さん(戸籍上も女)と会ってきました。
 商店街の先からこちらに向かってやってくるお姉さんは、アジアの売人でもなく、ごくふつーのイデタチでしたが、わたしを見つけ手を振るさまは、視力の悪いわたしを気遣ってか大胆な振りで、道行く人を多少なりとも威嚇する風はあったように(ごめんなさい、脚色ありです)

 以前から思うのですが、サイトをお持ちの方とOFFLINEで会って、どこぞの店に入り親睦を深めよう(?)とする時、場所を慎重に選んだりはしませんか?
 例えば、それは普通の会話であっても、隣りに居合わせた見ず知らずの客に聞かれてしまった場合、冷たい視線を浴びる可能性が多々あるように感じるのは、わたしの周りだけなのでしょうか?特に込み入った話をするでもなく、声が大きいせいでもなく、わたしの周りだからとてシモネタばかりに話題が逸れるという訳でもないのでしょうが、小心者のわたしはついぞ気にしてしまったりします。はい、そこ「をい、本当かよ?」と、言わない。ここは突っ込むところではないですから。

 今までも、何度かそうしてサイトをお持ちの方と会える機会が持てた時、活用するのがカラオケボックスです。お互いの喉を披露するのではなく、一応の防音に飲食付きなお部屋として、存分に喋り捲れるからです。ええ、もちろんそこで喉をご披露いただいても、わたしは一向に構いません。興じればノリもありますでしょうし、むしろ好きです。
 今日も、同様にカラオケボックスを利用しました。
 店の人が飲物を運んで来た時に、不自然さがないように一応マイクと歌本はテーブルに置きつつも、喋り放しでしたが。

 いやあ、女で良かったと(現在です)喋り捲っても、まだ話しは尽きず終了予定の時間までの数時間がアッというまに過ぎてゆきました。

 帰りの電車内にて
 乗り換えの時に立ち寄った本屋で見つけた単行本をドア付近に立ち読んでいると、直ぐ脇で女の子のけたたましい叫び声。驚いて振り向くと、その女の子の腕に大きなカミキリムシがとまっていました。きゃあきゃあと騒ぎながら多少混雑した電車内で腕を振り回す女の子。周りの乗客がどんどんと遠巻きに離れていくだけ。そのうちに遠心力に負けて、ポトリと落ちたカミキリムシを女の子が確認して、車内は静かになりました。(女の子は、虫が腕から無くなった時点で、何も無かったかのようにまた、友だちと雑談をはじめていました。うそだろうよ?と思わせるほど普通に)
 ところが、そのカミキリムシが丁度わたしの足元のすぐ前をノソノソと歩いています。電車は次の駅のホームに着き、反対側のドアが開くと、尚も乗客数は増えてほんの先にあるカミキリムシが踏み潰されそうです。それに気付いたのは、わたしとカミキリムシのその先の座席に座っていた女の人だけ。お互い目が合い、そしてカミキリムシを確認して、また目を合わせる…の繰り返し。次の駅のホームに電車がさしかかると、今度はこちら側のドアが開く予定です。そうなれば、カミキリムシはそのまま戸袋に潰されてしまうだろうと、尚もスリリングな思いで、絡む視線。もう、そのころには、変な連帯感が生じていました。
 電車が停車して、ドアが開くその間。わたしはポケットからハンカチを出して、虫を掴んでホームに捨てようとしたのですが、相手は頑丈な足をしたカミキリムシ。ハンカチをヒラヒラさせたぐらいでは、ガンとして離れようとはしません。降りる客の邪魔になり、乗る客が避けるように乗り込みも済み、迷惑とは思いつつもしゃがみこんで、ハンカチを振るわたし。陽気のせいとは言え、完全に変な人です。
 「どうしました?」天からの声が頭上で響き、嬉々として振り向きざま、その声の主にハンカチを差し出して「取って」と一言。その男の人は、簡単にハンカチから大きなカミキリムシを摘み取り、しゃがんでそっとホームに置き、それと同時にドアが閉まり電車が動き出しました。セーフ。
 「ありがとうございました」と軽く会釈をした後に、また本を開いて読むふりをして照れを誤魔化すつもりだったのですが、結局は、目的地の駅まで話かけられたまま話すことに。
 降りる駅が近づいてきたので、再度礼を述べていると、先ほどまで座っていた(カミキリムシの危機一髪の時にわたしと視線を絡めていた)女性も席を立ち、ドアに向かってきます。

 駅の珈琲スタンドで、その女性とカミキリムシを取っってくれた男性とその連れ一人、合わせて4人でお茶しました。

 たまには外出してみるもんですね。





 ほらね?
 無駄に長い ほのぼのサイトでしょ?>誰彼なく


香月七虹 |HomePage