+女 MEIKI 息+
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近所の子にチロルチョコを貰った。 一昨年だったっけ?流行った【きなこもち】味の例のアレ。 「ぬぉ?未だに持ってたのか?」とちょっと不安になったが、なんでも復刻版として袋入りで売ってるそうな。子どもにしたらアノ餅の食感(グミ)ときな粉の味がどうも好かないらしい。そうかそうか、おネーチャン(ココ強調)は好きだぞ。 何を気をよくしたのか、その子どもは次から次へと自分の好みでないチョコをくれようとする。いあ、貰うのは嬉しいがホラねえ、おネーチャンも世間体あるし。 「一個で、お腹イッパイ。ありがとねぇ」などと嘘ついてその場を逃げた。
夜に携帯メール受信。 行きつけの喫茶店で知り合って早数年、わたしを「ねーさん」と慕ってくれる女の子からのメールだった。 『ねーさん、何欲しい?』 ここは即答で「オトコ」と答えるべきか? 『活きのいいオトコを2、3みつくろってちょうだい』 メールだとタルいのかすぐに携帯が鳴った。 『今、○○に居るんだけど…』 夕方から営業するカフェバーもどきの店。 JAZZの生演奏をたまにやるようだけど、客層は近所の学生や若作りのサラリーマンの、喫茶店に毛が生えた感じの店。 家の周りは、まさに住宅街。しかも昔ながらの家が建ち並ぶ。 夜も遅くなれば、人通りどころか犬すら居やしない。そんな環境じゃあ、店と言ってもスナックぐらいしか開いている処が無い。ファミレスって気分でもない時は、そこを利用する人も居るのだろう程度の店である。 酒を飲まない彼女が、わざわざそんな店に居ることを告げるなんて。ああ、何か話しがあるのね。 『分かった、10分で行くわ』 同じく酒を飲まないわたしも、その店に行った。
それはいつものように、付き合ってる彼氏の愚痴だったり惚気だったりの他愛ない話だったが、彼女にしてみれば一大事な出来事だったわけで、堰を切ったように喋りまくっていた。 誰かに聞いてもらいたい、分からなくもない。そんな日もあるのだろう。 お互い翌日に仕事を控えているので、気持ち的には早めに店を出た。店を出てすぐ目の前にあるコンビニに足が向き、何を買うでもなく店内に入った。 彼女は翌朝の朝食分になる牛乳とパンを買い物カゴに入れながら 『そうそう、ねーさん何が欲しい?』また訊ねてきた。 『えーっとね、活きのいいオトコを…』 『そうじゃなくて!ねーさんオトコなら足りてるでしょう』 『いあ、いくらだって食うよ』 『彼氏は、あげないからねー』 その日、一番の笑顔で彼女が答えた。 ちくしょー可愛いじゃないかあ。ヘッドロックしてネーサンその場で彼女を押し倒しそうになったよ。 元気になった彼女に、例のチロルチョコ袋入りを買ってもらった。 『次までに、何か欲しいもの考えておいてね』 そう言われても、ネーサンもうチロルチョコで十分です。
チョコといえば、ロイズやらゴディバやらの高級ものよりも、そこいらで売っている板チョコやLOTTEのバッカスが好きだったりの単純な舌です。 要は、味の分からんヤツなのかもしれません。 でもね、チロルチョコの袋入り、いただけない味も中には入ってますよ。わたしに【きなこもち】をくれた子どもの気持ちが、なんとなく分かりました。
ケーキを二つ並べて、眺めつつ食べ比べつつ幸せ気分を味わった。そんなわけで甘い時間を過ごした記念が、胸の中で揺れている。 時に取り出しては、一人で頬を綻ばせながらもうちょっと頑張れるはず!と、励みにもなったりして、色々な事への感謝の気持ちも出てくるあたりは凄いパワーなんだとも思ってみたり。
当日、その場に至るまでホントに気付かなかったよ。忘れるほど多忙だったのかというとそうでもないんだろうね。きっと気持ちばかりが多忙な振りをしていたのかな。 気付いたその場に居たのがキミでよかった。 気付かせてくれて嬉しかった。 もうこれ以上ないぐらいな最高の気分だったよ。
いつだってその気持ちを味わいたい!と、欲を張って…10点。
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