colorful days
あたしらしく生きてたい。

2003年06月12日(木) お話2

「もう一度言ってよ」
 怒ったような声で彼女は言った。
「…………」
 彼は何も言わない。もう、言える言葉はないという顔をして、彼女を見つめた。
「君は分かってるだろう?そう聞くのも無駄だって、ちゃんと分かってるだろう?」
 彼の優しく残酷なセリフを聞きながら、彼女はだんだんうつむいていった。
 その頬に、光が反射してキラリと輝いたのを彼は見ないふりをする。つらいのは、自分も同じだから。
 この小さな街でも、夢を追い続けることは出来るかもしれない。
 でも、それじゃあ駄目なんだ。


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