大嫌いな歌がある。その歌を聴く度にあの時の想いが蘇ってきて、あたしを苦しめる。歌ってる人も他の歌も嫌いじゃないけど、唯一その歌だけが嫌い。その曲が流れる度に、あたしの体は氷を頭から浴びせかけられたみたいに冷たくなる。急に、鼓動が耳の近くで鳴ってるみたいに大きく聞こえて、冷汗の感触と指先が急激に冷えていくのを感じる。歌詞なんてもっと聞きたくない。恐れがあたしを掴んで離さないから。大好きな人があたしの隣でその隣の存在へ歌ってた、大嫌いになった歌。あたしには、とても大嫌いな歌がある。