| 2026年09月24日(木) |
One space forward |
3. 活動の前に「言える」をつくる:mim-mem *
関先生が授業内の「鍛える」練習の中核に据えるのが mim-mem(mimicry-memorization practice)です。 教材を導入して意味を確認したあと、モデルを聞かせて正確に真似て言わせる練習です。 約30年前、1997年の時点ですでに、Oral Approach の衰退とともに教室から消えつつあった練習です。 機械的だという批判もありました。 それでも関先生は、意味のある文脈で行うのであれば、授業時数の限られた多人数クラスでこれに代わる練習はないと述べています。
この論考で私がもっとも重要だと考えるのは、mim-mem の位置づけです。 関先生は、この練習そのものはコミュニケーション的ではないと認めています。 そのうえで、新しく学んだ英語を「今、言える」という達成感を持たせ、次の段階へ進む前に自信をつける意義があると言います。 十分に練習しないまま、自信のない生徒を活動に突入させてしまうのは教師の責任だ、とまで書いています。 活動をさせることと、活動できる状態をつくることは別のことです。
手順には、細かいけれども効く工夫があります。
・何に注意して聞くかは、聞かせる前に伝える。 ・聞かせた後で注意するより効果がある。 ・教師は一緒に言わず、観察に専念する。一斉練習は生徒に言わせる時間であると同時に、教師が見る時間でもある。 ・ジェスチャーで合図して、2回続けて復唱させる。 1回目に自信のない生徒は、2回目で声がそろわず小さくなる。この変化が、教師がすぐに「手当て」すべき合図になる。2回連続の復唱は、練習の負荷を上げると同時に、教師にとっての診断装置にもなっています。
個別に言わせるときの約束も2つ示されています。
1つは、ほかの生徒が言っている間も自分の口の中で同じ文を言わせること。 もう1つは、訂正は1点に絞り、少しでも良くなれば "That's better." と認めることです。"Good." ではなく比較級で認めるところに、完成ではなく前進を評価する姿勢が表れています。
* 4. なぜ「後ろから」なのか:Backward Build-up *
長い文を復唱させると、文末が曖昧になり、声も小さくなりがちです。 そこで関先生が勧めるのが Backward Build-up Technique です。 We can lend you only two books at a time. であれば、at a time → only two books at a time → 文全体と、後ろから前へ積み上げていきます。 文頭から積み上げるやり方はうまくいかない、とも明記されています。
関先生はこの方法の利点として、リズムやイントネーション、速度を保てることを挙げています。私はそれに加えて、2つの理由があると考えます。
1つ目は、この方法では文末が最も多く繰り返されることです。弱くなりやすい部分に、練習量が最も多く配分されます。
2つ目は、英語では新しい情報や焦点が文末に置かれやすいことです(end-focus)。 後ろから積み上げれば、毎回同じ文末で「着地」することになり、文の中でもっとも伝えたい部分を確実に言い終えることができます。 文頭から積み上げると、言い慣れた部分から不慣れな部分へと毎回はみ出していき、文末はいつも不安定なままになります。
|