「何か」
何かが静々と闇を持ち寄る。壁に浮かぶ影の先がそれに私を引きずりこんで少しの間だけ孤独を忘れさせようと優しく笑って手を握る。私は躊躇もせずに導きに従いやがて幾つもの星々に混ざる。全てが溶け込むように無色になると何一つ実体を持たぬ気配にわずかに楽しげな思い出を懐かしみつつそうして私はその何かになる。何かになる。