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2003年02月22日(土) 「多分このまま素敵な日々がずっと続くんだろう」

拝啓 王子様

どこかの珍しい桜が咲いたと新聞が伝えていました。
それでもこたつから離れるには、まだまだ時間がかかりそうです。

お元気ですか。



今日は休日です。
朝起きて、昨日の夜の黒ごまリゾットのあまりを食べました。
ひとり暮らしには、私の体もすっかり慣れたようです。
テレビも携帯電話もありませんが、
特に不便はありません。

考えてみれば、
あなたの声を聞くことも顔をみることも、手紙を読むことさえも
私にとってはたいして重要なことではなかったのだと最近気付きました。

ただ大切なのは、あなたという概念、あなたという思想。
あなたという亡霊、あなたというゲーム。

ところで、いったいあなたという人は
本当にいるのでしょうか。



午前中いっぱいかけて部屋の掃除をしていたら
随分昔、あなたにもらったウールのセーターが出てきたの。

懐かしい気持ちになりました。

懐かしい気持ちになったのに、
何故だかもらった時の情景や
自分の心の動きを全く思い出すことができませんでした。

ごめんなさい。
何故なのだろうと、本当に不思議です。

あのときは私の誕生日で、
「嬉しかった」と日記にもあります。
しかし包装のリボンを解く時の指の感触や
何度か袖を通したはずの毛糸の暖かさは
どこか遠くのブラックホールにすっかり吸収されたかのように、
忽然と姿を消してしまいました。

そもそも何故、このセーターを着なくなってしまったのかも
覚えていないのです。

記憶というのは、信用できないものね。



先日は二時間半電車に揺られて、東京に芝居を見に行きました。
「ニンゲン御破算」。

松尾スズキは舞台の中で「松尾スズキ」を演じています。

私も私という人間を、
完全に演じきることにこれからの人生をかけることにしました。
毎日の生活は、
私という人間を演じている空っぽの私の寄せ集めに過ぎない。

ああ!なんて楽しい毎日なのでしょう。



電車の窓に流れる郊外の風景は、本当に美しかった。

河岸にぱらぱらと作られた真新しい住宅群や、
やたらと広いゴルフ場のような公園。
平日の昼間なのに、人の匂いがしないの。

ガラス一枚で隔てられた空間は、ぬくぬくと暖かくて、
つい眠りに落ちてしまいました。



私の手紙からは
私の考えていることが分かりやすく伝わっていますか。
私はあなたの考えていることを、
実はひとつも理解できないでいます。

それじゃあなぜ
私はあなたのことを、
こんなにも素敵だと思うのかしら。



いつまで今の生活を続けるかについて、
考えないといけない時期に来ています。

ではまた。次回には状況が変わっているのかもしれないわ。

かしこ

れいこ



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