罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
今、お盆休み。 つっても四日間しかないんだけど。 休みは欲しかった。 寝る時間、一人でいられる時間。
でも、いざ休みを貰ってみると、やることがない。 やらなきゃいけない事はあっても、やりたい事が少ない。
『君は物欲無いよね』
よく言われる。 欲しいのは、本当に欲しいものは物じゃないから。 失うものなんかたかだか知れてる位、なにも持ってはいないし。
僕が欲しいのは、こころ。 僕たちの小賢しい理屈なんか歯牙にもかけないようなこころ。 他人の、そして自分の。
お金を積んで手に入るものじゃない。 物で代わりになるものじゃない。
それを考えると狂いそうになる。 壊れた道化の僕たちにはこころが無い、そんな事実をつきつけられると。 まだ、マシなのかもしれない。 決定的に狂うことを自制できるなら。
誰かに支えて欲しい。 でも、つい上っ面の僕は支える側に回ってしまって。 機械のように冷静に計算して、ルーチンワークのような作業。 本当の僕を曝け出せない。
涙を僕は流せない。 それは僕に与えられた機能じゃないから。 ルミはいつも僕の見ていない所で泣いているらしい。 フェイ…翡翠は表では泣かない。 僕の奥の方で、見えるギリギリの所で、よく泣いている。 でも僕は、どんなに悲しくても、辛くても、笑顔しか無くて。 …笑顔しか、無くて。
結局、僕もドライな性格なのだろうね。 でも、そんな僕でも何の目的も無く会いたいなぁって思える友人。 今は、それでいいよね。
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