罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
凄い手荒れ。 火傷みたくなって腫れ上がってる。 皺だかアカギレだかわかんなくなって。 感覚が凄く鋭敏になりすぎて、 脳が感覚を遮断しようとオピオイドを過剰に放出してる。 感覚ごと意識もダウンする。 我慢の足りない瞼が勝手に落ちて来る。 気がついたら違う場所にいた。 手に持っていた荷物が無い。 いつもの話。 たいした物でなくてよかった。 日本語が異国の言葉に聞こえた。 電車の中の話声が全て解らない。 視界が範囲をそのままに暗闇の中へ小さくなるような感じ。 真っ暗な部屋でテレビ見てるみたい。 現実がフィクションのように思えてならない。 ゲームに没頭してる時、ふとわずかに現実に帰るような。 胡蝶の夢。 現世は夢、夜の闇こそ真実。 終わらぬ夜と醒めない悪夢。 極地の百日夜のように。 冬が溶ける迄天使は目覚めない。 命の農夫はやってこない。 秋に刈り終えたから。 春まで蒔かないから。
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