罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
2002年08月29日(木) |
ゲイバレする事 缶太郎 |
『オカマ』と呼ばれても今更何も傷付かない。 ただ、哀しいのは。 ゲイとオカマの区別も付かない世間知らずが知ったかぶった言葉で他人を罵る事の どーしょーもなく小学生以下の低脳っぷりというか(傲慢)。 でもまぁオカマでもあるんですけどねぇ(笑)。
僕の外見はよく見ればゲイだと判る。 喋ってるところを見ればさらに判り易い。 騒ぎ出せば疑惑は確信へと変わるだろう。 つまり、そんだけバレバレなスタイルで生きてる。
実際、少人数ではあるがカミングアウトしてもいる。 気の置けない専門学校時代の女友達数人、 専門学校時代からの悪友(男性)、ウチの店長。
まぁ別にばらして無い友人も、今更と言った風ではある。 平気で『今日は二丁目?』とか聞いて来る辺りセクハラ並(笑)。 時々ゲイについての正確な知識を講義したりする時点でもうバレてる。 決定打を撃ってないだけ。
ただ、田舎の、高校時代の友人たちには全くバラしてない。 オネェ言葉は使っても、ふざけてるようにしか使ってない。
彼らの事は、大好きだ。 難解で哲学的な事でも馬鹿馬鹿しい恋話でも一晩中語り合える。 真面目に。 そんな貴重な存在ばかりが集まった高校の仲間は大好きだ。 あの一言が無ければね。
『○○○(僕の戸籍名)って、ホモ(差別用語)なん?』 『やだー、オカマ(本来男性トランスベスタイト・つまり女装者を指す)?』 『やめときな、そ・れ・だ・け・はっ、やめときな』 『数年後会った時○○○がオネェさんになってたらヤダよ』
『…ははは、俺がそんなになると思ってる?』
彼らに悪気は無い。 僕がゲイだなんて事は天地が引っくり返っても在り得ないと信じてるから。 だから、 差別用語や場違いな言葉をどういう人間に吐いたかも、 最後の言葉を努めていつもの笑顔で吐き出すのにどんな気力が要ったかも、 その後僕が密かに壁に拳を叩きつけていた事も、 知らない。 知らせてはならない。 人としてはかなり純真で、優しい彼らが、知らずとはいえ傷つけた事を知れば。 知った時もっと傷付くのは彼らだから。
彼らは貴重な本音を語れる友達だ。 でも逢いたくない。 今の僕を見たなら、ばれてしまうだろう。 でも彼らに嘘なんか吐きたくないから、隠し通せない。 全て話して、傷つけてしまう。
それなのに、九月中に、逢ってお茶でもしようと約束した。 彼らの中でも、最も気の置けない友人。 もう八月が終わるというのに。
まだ僕らがゲイである事を頑なに隠していた頃、彼らに逢った。 隠したまま、彼らと付き合い続けた。 それが、ネックになったと思えた。
だから、今はさらさら隠す気も無い。 でもべらべら喋りもしない。 確信に近い疑惑を持ってそれでも付き合ってくれるなら、それでいい。
ごめんね。 僕はキミを傷付けに行くだろう。 多分僕はその後暗闇の中で涙を押し殺すんだろう。 でも一日で立ち直るよ、後悔なんかしたくないから。 受け入れてもらえる期待なんかしていないよ。 ただ、僕はキミへ友人としてのケジメとしてエゴを通しに行くだけ。 結果はどうあれ、キミは成長する、僕も成長する。 他人を傷つけて、自分も傷付いて、人は成長する。 エゴを正当化する。
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