罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
痛い…。 痛い痛い痛い…。
残った左眼が痛い。 頭もズキズキする。 そして、首を締め上げる異物感。 苦しい。 眠いけど、眠ることも出来ない。 自分を保つのが精一杯。 そのまま倒れ込んで気を失ったならどんなにか楽か。 でも、こんな所で何かやらかす訳にはいけない。
痛いよ。 寒いよ。 苦しいよ。 見えるはずのないモノが手招きをしてる。 ごめんね、そっちに逝くのはまだイヤなんだ。 聞こえるはずのない声が囁き続けている。 ごめんね、その願いはもう聞き入れたくない。
首輪のように繋がれた過去が真綿のように首を絞める。 嘘であれ。 僕の知らないこの身体の過去。 精緻に彩られた虚構なら。 叩き付けて壊してやれるだろうか? もしそれが真実だとして。 受け入れて進まなければならないのに。
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