Land of Riches


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 2025年08月08日(金)   筑紫/前 

8月の3連休付近に福岡県で刀剣乱舞関連イベントが集中し、幸い全部チケットが取れたので
今年3回目の福岡に飛びました。連休はただでさえ高い福岡泊まりの相場が上がるため、
直前の金曜に泊まる日程として、1泊2日の間にイベントをギチギチに詰め込みました。
(飛行機も良い時間帯は高いので遅めにずらして旅費を下げている)
自分でもこなせるか不安でしたが、どうにか全部消化できて良かったです。

11時過ぎに福岡空港へ降り立ち、まず太宰府・九州国立博物館での特別展に向かいました。
「九州の国宝 きゅーはくのたから」にへし切長谷部と日光一文字が出品され、
他の刀剣乱舞モデル刀たちと並んでコラボ記念の描き下ろしイラストも展示されたからです。
春に大阪へ行った「日本国宝展」でも近畿の宝コーナーありましたが、このコンセプト、
流行しているんでしょうか? 思い起こせば2022年に東京国立博物館へ琉球刀を見に行った
「国宝 東京国立博物館のすべて」も、タイトル通りトーハク史の紹介も兼ねた内容でした。

長谷部のイラストレーター・小宮さんは色々な経緯を経て描き下ろしを望むのが難しい方。
先述のトーハク国宝展の大包平も、小宮さんではなくニトロ制作絵でのグッズでした。
6月半ばに今回、長谷部の描き下ろしもあると発表された時は舞い上がっちゃいました。
こころなしか令和ナイズされた長谷部の新規絵を拝める日が来るなんて…!

きゅーはくは太宰府天満宮の中にある(敷地等を提供したのも天満宮)ので、初手は参拝。
藤本壮介さん設計の仮殿は屋根に周囲と同じ植生が整えられた、正面から見ると時代を超えた
自然への畏敬を感じる外見ながら、真横からだと現代的な人工物と一目瞭然なデザイン。
数年で壊す前提ゆえの産物でしょうが、太宰府天満宮の時代性を受容する姿勢に打たれます。

長いエスカレーターを登りきゅーはくへ。お腹も空いてますので、入館前に隣接レストランの
「いいのじ」でコラボドリンク(長谷部はブルーベリーの生クリームラテ)と展示にちなんだ
九州各地の食材を使った限定メニュー「沖縄ゆかりのタコライス」をいただきました。
沖縄が九州エリアに入るの、なんとなく忘れがちです。隣の卓も長谷部推しの審神者でしたし
「同業者」も大勢いましたが、それ以上に中国人観光客が多く、福岡らしいと感じました。
(福岡市博物館の常設展に日本最古のチャイナタウンがある程、地理的に昔からずっといる)

展示は梵鐘の複製品が叩けたり、QT9と称するきゅーはくが推す展示品に擬人化めいた
キャプション(1日をどう過ごすかの妄想等)があったりとユーザーフレンドリーな雰囲気。
刀剣は長谷部と日光一文字、立花家の吉光、キョーハクの黒田家旧蔵安家と比較的馴染みの
メンツではありますが、やはり照明などの加減で見え方が違うので、新鮮に映りました。
そんな中で独立ケースを与えられていたのがキューハク所蔵の来国光だったのは流石でした。

収蔵庫不足に悩むミュージアムも少なくない中、キューハクは常設展も借用物が多く、
むしろ来場者に寄贈を呼びかけているのが印象的でした。笹貫は常設フロアに展示でした。
キューハクの常設は固定導線がなく、小部屋に出では入り出ては入り…なのも面白いです。
ゆっくり見たい気持ちもあれど、夜の刀ステがメインなので久留米に向かいました。

何度も訪れている福岡県ですが、久留米は初めて。今回の遠征では西鉄ばかり乗りました。
旅人のような観光客向け列車もあって乗りましたが、大半は独特のアイスグリーン塗装に
ボンレッドの線が引かれた年季の入った車両。このカラーリングは今年で登場50周年だとか。

ホテルも刀ステの会場も西鉄久留米駅とJR久留米駅の中間にありました。夕食はホテルからの
道の途中にあったブンイレのパン、夜食もホテルの近くにあった地元スーパーのパンでした。
(高野洸さんがケンミンショーで触れた久留米ホットドックは売り切れで翌日の朝ご飯に)

刀剣乱舞の演劇は1000人以上入る会場でないとダメらしく、地方ではハコが限られます。
今回の久留米シティプラザも、どう見てもオーケストラコンサート向けのハコでした。
博多座の歌舞伎とキャストが相互観劇もしていたので、福岡市内はまずかったのでしょうか。
お金をケチってA席にしたので4階で、最前列とはいえ完全に見下ろす格好の見にくさです。

そもそも士伝は特命調査での加入順がどちらかである原案を再現し、加入するのが水心子or
清麿が加入する2バージョンでの上映。私は円盤先行で7月16日に日本青年館で上演する
源清麿バージョンの最前列が取れていました。刀ステ見始めて9年目で初の最前列。
(天伝、无伝、十口伝と2列目は何回か経験あります)
しかし長曽祢虎徹役の松田さんが負傷離脱、アンサンブルの下尾さんが急遽代役に入り、
観客に見せられるレベルにするための準備期間に7/16は含まれたため、返金となりました。
舞台の払い戻しはゲキシネ以来の2回目でした。最前列放棄はやっぱり口惜しいです…。
(今回、刀ステでは初めてリピチケも出て行こうと思えば東京でも行けたのですが、
出陣部隊の顔触れに対しそこまでパッションが湧きませんでした。口惜しさの未消化もあり)

結果として出陣部隊は今作が男士としては初出陣となる役者ばかりになってしまいました。
座長の後藤さんは役者のキャリアも長く、また芸術家としても作品を発表していますが、
殺陣は今回は初とのこと。他のフレッシュな俳優陣と共に7周年感謝祭のあった2023年から
2年も殺陣稽古を重ね、刀ステ本丸の実は古参設定に負けない殺陣を見せてくれました。
代役の下尾さんは刀ステ過去作でも凄まじい殺陣を見せてきたBRATSのメンバー。
意図せず、殿様の宝だった真作と新選組で実戦経験豊富な贋作のコントラストを描きます。

序盤、ゲーム内で蜂須賀が贋作に向けたセリフの録音がBGMのごとく、延々と流されました。
こんなにも辛辣な言葉を並べているのかと、蜂須賀に疎い私はビックリしてしまいました。
今でこそ他メディアミックスでビジネス不仲みたいな距離感と受け止められていますが、
原案ゲームが一番きつい間柄という事実を改めて突きつけられました。刀ステはあくまでも
刀剣乱舞ONLINEの2.5次元化作品ですから、原案ゲームのセリフは金科玉条なのです。

また、ゲーム内に出てくる焙烙玉や木札も思った以上にきっちりと登場していました。
一部の感想では不自然だと評された程、原案ゲーム回想そのまま回収ノルマも誠実に消化。
(今回の部隊編成は浦島虎徹・小竜景光・石田正宗と蜂須賀の回想相手になっている)
浦島はどのメディアミックスでも虎徹兄弟の欠かせない潤滑剤ですね。
見た目は可愛くても経験のある役者さんがミュ・ステ共に起用されているのも納得です。

天保江戸の特命調査では水野忠邦の改革が失敗せず、窪田清音が御納戸頭を解かれません。
彼が源清麿のパトロンとなって作刀を後押しする史実、ひいては「近藤勇に誤認された」
長曽祢虎徹がロストするのでは…と内心で焦る隊長・蜂須賀虎徹。
水野忠邦が時間遡行軍につけこまれたのも、江戸を想い過ぎたがゆえでした。

「俺達は刀だ。刃持ちて語ろう」
水野忠邦の差し金で真剣必殺状態で対決する蜂須賀と長曽祢の殺陣が今作のクライマックス。
先述の演者起因のコントラストが一段と鮮やかになる場面でもあります。

放棄された世界でもそこに生きる人(歴史人物)の想いや朧の愛国心は本物。
贋作ながら虎徹の名に恥じぬ働きをする長曽祢虎徹も、また刀剣男士として本物。
認識を改めた蜂須賀はその上で「史実」と異なる部分を正すのが男士の役割だと悟ります。

最後は修業を経て、天女のような極装束をまとって終劇となります。
これにて幕末三部作(維伝・心伝・士伝)は「完」とも大々的に掲げられます。
天伝でさんざん物議を醸した「完」−この分岐はどこにも続いていかないのだと。
長曽祢虎徹の心情として晴れやかに心伝に臨んだのも納得ですし、黒まんばの末路も同じく。
着実に結末(陽伝)に向かっていると感じさせる、シンプルゆえに腑に落ちる作品でした。

2026.1.4 writing-completed


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