「さようなら」
を
言おうと思って掛けた電話
あなたの声が聞きたいのに
心のどこかで祈ってた
「どうぞこの電話の向こうにいませんように」


「さようなら」
と
打ったメール
あとは送信ボタンを押すだけなのに
送信トレイにしまうわたし
心のどこかで祈ってた
「どうぞこのメール宛先不明で届きませんように」


「さようなら」
と
書いた手紙
あとは住所を書くだけなのに
机の上にいつまでも放置するわたし
心のどこかで祈ってた
「どうぞこの住所にはもう住んでいませんように」


本当はわたし
「さようなら」
なんてしたくないのよ
ずっと一緒に居られると信じていた
あの日
空は
吸い込まれそうな
青だった