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 いい子いい子。

他の選択肢なんて
あたしにはなかった。

全部飲み込んで
血肉に変える以外に
いったい何ができただろう。
悲しみの前にも
淋しさの前にも
憤りの前にも
あたしはただ無力で
ひざを抱えて
じっと闇を見ていた。
伸ばされた暖かな手に
身を委ねることもできずに。

あたしは何も信じない。
そう思わなければ
とても歩いてなんていけない。
最初から信じなければ
裏切られて
傷つくこともない。
ただ臆病で
卑怯なだけなのも知っていたけど。

上手なうそで
からだごと信じさせてよ。
この身を切り裂くような痛みが
その先に待つのだとしても。

2003年05月31日(土)
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