渡河いるか

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お題挑戦中
2005年04月13日(水)

01 髪を梳く

「ほえあわっ!」

首筋に突然動きを感じて、セドリックは意味不明な声をあげた。
慌てて振り向くと、そこにはやはり驚いた顔のレイチェルがいた。
目を丸くしてこっちを見ている。

「…びっくりした…そんなに驚かなくても…」
「な、何してるの、レイチェルさん」
「いや、綺麗だな、と思って」
「何が?」
「髪」
「……は?」

どうやら、彼女は自分の髪をさわってみただけらしい。
だからって、突然さわられると、心の準備が。

「私の髪って硬いのよ。元々そうなんだけど、外に戦いにいくから、余計にね。だから…セドリック君みたいな髪って、うらやましくって。」

返す言葉もなかった。彼女も年頃の女性なのだ。当然、そういうことだって気になるに決まっている。しかし、自分には戦闘技術はない。彼女の代わりに戦闘へ赴くわけにはいかないのだ。そもそも、そんなこと彼女は望んでいないだろう。だとすれば。

「…どうしたの?」

突然座り込んだセドリックに、レイチェルが疑問の声をかけてくる。

「いいよ」
「え?」
「髪。こんなんでよければ、いくらでも」

彼女を見上げて、無意識に微笑んだ。
ちょっと驚いたのが見えたけれど、その後の表情は彼女が背後にまわってしまったからわからない。髪が指でゆっくりと梳かれているのを、心地よく感じていた。

貴女が笑顔でいてくれればいいと思う。
そのために、自分にはこんなことしかできないけど。


*****



お題は↑こちらよりお借りしました。

ひたすら甘いです。うわー!げきあまー!…まだぬるいですかね。
30、全部セドレイは無理な気がしますが、なるべくほとんどセドレイで書きたいなぁ…需要はなさそうな気がしますが、供給がないので自給自足で…



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