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■ はるにれ
学生時代、北海道へ一人旅をしていた頃、私のお気に入りの場所があった。
その中の一つは豊頃。 そこに立っている「はるにれ」の木。 偶然見かけた写真絵本の中に、四季折々の姿の「はるにれ」あった。 その頃、周りの全てに虚しさを感じていた私だった。 写真を見た瞬間なぜだか、心が落ち着いた。 文章もない、写真ばかりの本。
どうしてもその木をこの目で見たい衝動に駆られた。 北海道の豊頃と言う場所ににあるらしい。 実際に行ってみた。
あの頃・・・。 大きなリュックを背負い、名古屋から東京まで出て、夜行列車で北を目指した。 (その頃は青函トンネルはまだなく、青函連絡船だった。)
豊頃の駅に降り立ち「はるにれ」に会うため、一人歩いていった。
あの頃は「はるにれ」もまだまだ知っている人は少なかった。(今は観光名所の一つになっているらしい。) 堤防沿いを歩く。
あれかな?
たどり着いた場所には、目指すはるにれ以外に数本木が立っていた。
あれかな?ちょっと形が違うな。。。。 あれだあれだ!
視野に飛び込んだ大きな木。 バランスにとれた、木らしい木。
堤防からはまだまだ遠い。
とにかくおりてあそこまで行かなくっちゃ!
そして、ご対面。
大きな幹の周りをぐるりと回って見上げた。
ここだ、ここなんだ!
しばらく眺め続けた、幹にそっと触れた。
少し離れて、全体を見渡す。
やっぱりこれだ!
リュックから三脚とカメラを取り出し、記念撮影。 (だだっぴろい、誰もいないこの場所で一人ポーズを取るのは何ともいえない気分。)
このときの他、冬にも行ってきました。 白い雪原の中に立つ「はるにれ」は神秘的でもあった。
私のダウンジャケットの擦れ合う音と、私の吐息しか聞こえない。 それ以外の音は雪が吸収していく。
近くに寄りたくても、雪が深くなかなかいけない。 やっとの思いで幹までたどり着いた。
こんにちは。 また来たよ。
あれから、だいぶ時がたった。
観光名所となってしまった「はるにれ」。 今では私の秘密の場所ではなくなってしまった。 が、今でも雄大な姿で草原にたたずんでいるらしい。
いつか、いつか又会いに行きたい。 あの場所に・・・。
今でも時々本を開いてみながら、そう思っている。
2004年06月10日(木)
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