おさむ日記/炭焼き生活日記 〈竹炭・竹酢液の無限窯〉
今月12日に窯の火が止まったのですが、今回の炭焼きは窯の近くで鳥が巣をつくってしまい、火の番をしながら鳥の育児観察もすることになりました。 もちろん火の番がメインでしたけど、ほほえましい姿を見ながら、朗らかな想いをしながらの日々でした。
鳥の名は「キセキレイ」。 しっぽをいつもフリフリしている小型の鳥の「セキレイ」の一種で、胸が黄色いので「キセキレイ」と呼ばれています。 ネットで調べてみると「Yachoo! オンライン野鳥図鑑」というサイトで詳しく説明していました。
炭材作り・窯詰めをしている5月22日に窯場の屋根の下に巣があるのに気づく。 上記の写真の右上のモジャモジャしたものが巣です。 まーこんなところに作るとは・・。 こんなに低くて近いのに、なんで私はすぐ気がつかなかったのだろう。
| 覗いてみると卵が5個。 産んでしまったから、いまさら巣を撤去するのは嫌だし。 でも、あまりに窯の煙突に近すぎるよ。 火が入ったら煙が思いっきりかかる場所だから大丈夫かな。 ヘビなどの天敵が来ることはないだろうけど。 もう、こんなところに巣作るのが悪いんだからなと思いながら、しょうがなく見守ることに。 |
| 5月26日に窯に火が入り、煙突から煙がでる。 そんな中でもずっと親鳥2羽が交代で巣に入り、昼も夜も卵を温める。 交代する時は私の姿があるとなかなか巣に入ろうとしないが、一旦巣に入ると身動きしない方が安全とみて、じっとしている。 今まで望遠のないデジカメで親鳥を撮れなかったので、ここぞとばかりに接近してパシャ!
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| 6月1日 火入れから6日目。 近くで煙が出てるのに恐れず親鳥が温め続けてきた卵がかえる。 今まで巣でじっとしたのに、親鳥が餌を運び始めたので、もしかしてと親鳥のいない間に覗いてみると、あー生まれてる! 目玉が大きい〜!すごくうれしい。 でも煙が大きくなるし、これからの雛たちが心配になる。
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| 6月2日 だいぶピンボケしてますが。 5個とも無事にかえったようで、親鳥の声をまねて「チッチッ!」と舌打ちしてみると、一斉に口を開ける。けなげ・・。 声はかすかに聞こえる。 親鳥2羽が餌を本格的に運び始め、見ていると小さな蛾などの昆虫を捕まえてくる。
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| 6月5日 声が徐々に大きくなる。 私の声に反応してくれるのがうれしい。(いい迷惑なんだろうけど・・) 親鳥が餌を雛にあげると、すぐ雛が反転してお尻をプイっと向けて白い糞を出し、それをくわえて外に持ち去る。 なので巣はいつも衛生的。 その糞はだいたい捨てるところが決まっていて、川沿いの道のガードレール。 捨てた後、くちばしを地面にこすりつけてきれいにして行く。
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| 6月7日 ここらへんから驚異的な成長を始める。 「日に日に大きく」ってよく言うが、文字通り一日ごとにびっくりするほど大きくなる。 声も一日ごとに力強くなってくる。 この頃から何匹か私の声に反応しなくなってくる。 目が見えるようになってきたんだろうか。 この写真なんかブスっと一匹こちらを睨んでるし。
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| 6月12日 久しぶりに覗いてみるとこんなに大きく! 驚くというより、「げ!?」ってかんじ。 早く大きくなりすぎだよ・・。一羽ははみ出てるし。 もう完全に私の声に反応しなくなった。 逆に敵だと思ってかピクリとも動かない。 その方が賢くてよいのだけど・・。 反抗期を迎えた子供を見る親の心境だな、これ。 小さいときはかわいかったのに・・。
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というように急速に育ってきた中、12日の午後に最後のネラシ(不純物を抜ききるのと、炭を硬質にするための作業)をかけ始め、窯口・煙突口を全開にしていきました。
そしたら途中で親鳥がピーピー騒いでいることに気づき巣を覗いてみると、いなんです、雛たちが! さすがにこのタール臭の強い煙はきつかったみたいで、たまらず飛び出してしまったようです。
あー、まだ飛べないのに巣から出てしまったら、外敵に捕まってしまうかもしれない。大丈夫かな・・。 その時はネラシの途中なのでそれどころではなく、窯に集中していましたが、数時間経って火が止まった後、すごく心配になって外を見渡してみたら、親鳥が心配そうに声をかけ、窯の周りの草叢のあちこちから小さな声が聞こえてきます。 親鳥2羽に雛5羽ではなかなかつかまらないみたいで、八方でずっと声の掛け合いをしていました。
それで、その1時間後くらいでしょうか。それが飛んでたんですよ、雛たち! まだおぼつかない感じでしたけど、低空飛行で兄弟でじゃれあうようにして。 さっきまで巣に入ってたのに、しかも自分たちの意思で巣立ったのではなく、煙で苦しくて巣から逃げたのに。 火が止まった直後ということもあり、なんかジ〜ンときてしまった。ほんとよかった・・。
上記のサイトを読むと「雛は約12日で巣立つ」とありましたし、今回のネラシの煙は彼らにとって必然だったみたいですね。(「オーラの泉」の見すぎか・・)
「卵は時期が来ると卵の中の雛の体から自然に毒素が出て、それで殻の中にいては苦しくてしょうがなくなり殻を突き、卵からかえる」という話を前に聞いたことがあります。(すべての卵がそうとはわかりませんが) そうすると彼らは2回似たような体験をしたのですね。
前の窯場で急に焼くことができなくなってしまい、今の檜原村の素敵な場所にめぐり合うことになったことを思い出しました。そういう時にそういう事が起こるのですね。
ということで、いろいろと励まされたり考えさせられたりの炭やき&育児観察でした。
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