普段、新聞をほとんど読まず、社会情勢にも日本の経済状況にも さして興味を持たない私ですが、今日の朝、米英西3ヶ国首脳会談後の ブッシュ大統領・ブレア首相の会見をテレビで見て、やりきれない気持ちになりました。
戦争が始まります。
間違った方向に進んでいる国を、正しい方向に導くのだ、という大義名分も、 「制裁」という言葉で誤魔化すことも、大勢の命を犠牲にするという、確定した現実の前で、 何の意味も持ちません。
最新兵器を使った攻撃は、まるでゲーム中の出来事のような、現実感を伴わない 機械の操作一つで、たくさんの人々を、個人個人の善悪や思想に関係なく、 生命の危険に晒します。近代戦争はもはや戦いではなく、大量殺人ではないのか。
戦争が憎しみを呼び、憎しみが戦争を呼び、人種や民族や文化の差異に関係なく、 この強烈な感情から生まれる哀しい連鎖は、世界共通であり、断ち切りがたいものです。
国連という組織は、強者に都合のよい大義名分を、弱者にも押し付け納得させるための 機関ではなく、そういった逃れがたい連鎖を回避し、少しでも穏便な方法で、 相互理解をしていくためのものではないのか。
アメリカは、確かに強大な経済力と軍事力を持つ国ですが、だからこそ、 自国の傲慢なまでの利潤追求のために、絶大な影響力を恥知らずにひけらかして、 自分と違った意見を持つ国に罵声を浴びせ、声高に自分の歪んだ正当性ばかりを 主張するような、そんな我儘な子供のような真似は、許されないのではないのか。
世界一の経済・軍事大国であっても、世界はアメリカのためにあるのではない。 テレビを通して強調される、こういったアメリカの独善的な態度がとても嫌いです。
だからといって、勿論、イラクのあり方が正しいとは一概に言えません。 何故イラクは武装しなくてはいけないのか。何故アメリカへの反発がこれほどに根深いのか。 その理由を、もっとみんなが考えていかなくてはいけないような気がするのです。
長い時間をかけて形成された、一触即発の深い憎しみは、やはり長い時間をかけた お互いの話し合いや相互理解によって解消されるべきだと思います。 それなのに、イラクが話し合いのテーブルにつかない理由も、今までのアメリカの態度に 一因があるのかもしれません。
軍事制裁によって、この事態の根本的解決にはならないことは、みんなが判っています。
所詮、アメリカにしてみれば、大して自分たちに被害が及ぶことがない、却って 軍事産業によって、失速気味の国内経済が活性化し、あわよくば石油という大きな 利潤が獲得できる、勝率の高い賭けのようなものなのかもしれない。
日本は、アメリカに阿諛追従するしか能のない小国ですが、太平洋戦争で、 国内の主要都市のほとんどが焦土と化し、原爆投下によって多くの一般人の犠牲者を 出した国として、戦場となる国の悲惨さを、自国の被害などほとんど被ったことがない、 アメリカという傲慢な大国に、伝えていくことくらいはできないのでしょうか。
テレビに映される、歪んだ世界の姿に、なんだか切なくなってきます。
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