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2003年12月10日(水) テクノポリスの空の下。

 今日は映画を観てきましたよ。
元・有頂天リーダーにして、元・ナゴムレコード社長にして、
元・劇団健康旗揚げメンバーにして、今・ナイロン100℃の
作・演出担当、KERAこと、ケラリーノ・サンドロヴィッチ
初監督作品、「1980」

 まんま、1980年当時が舞台なんですけどね。
当時のニューウェイヴっつうかテクノポップっつうか
私が憧れてやまない、キッチュでポップで、それでいて
実体がよく判らない、80年代そのままな映画でした。

 映画としては、劇団出身の人だし、今、流行の感じ。
三谷幸喜やクドカンと似たような匂いで、
判らなくても笑えるけど、判る人だといっぱい笑えて、
判って笑える自分に、ちょっと優越感、みたいな
小ネタ満載で面白い、といった、アレ。

 そういう意味では、同行者の言葉を一部借りるなら、
「新鮮味はまったくないけど、舞台そのままのノリ」
の映画でした。
出ていた俳優さんも、劇団の人が多かったし、
話の筋そのものよりも、出演者の強烈な個性に
因る面白さが大きいというか。


 それよりは、映画の中で描かれる、80年代って
時代の風景の方が、興味深かったかも。

 1980年代ってさ、77年生まれの私は
幼稚園〜小学校くらいの時期なのですよ。
静岡のド田舎で、鼻垂らして、妹と虫追っかけてた時代。

 80年代のああいうカルチャーって、リアルタイムでは
まったく当時の私の生活に絡んでこないし、知らない訳。

 中学生になって、お約束のようにバンドとか好きになって、
ユニコーンだ電気グルーヴだと騒ぎ出して、月間カドカワで
大槻ケンヂの連載読んだり、当時流行ってた、ソニーマガジン系の
出版物を読み漁って、ちょっと毛色が違った風に、YMOとか
騒ぎ始めると、自然と暗号のような情報が入ってくるわけですよ。

 ナゴムレコード、ナゴムギャル、有頂天、プラスチックス、
ばちかぶり、人生、テクノカット、スネークマンショー、
ヘンタイよいこ、ヒカシュー、矢野顕子、立花ハジメ

 
 80年代という時代は確実に過去に変わってきていて、
後追いしているだけだから、どんなに情報を仕入れたところで、
当時の生の弾けた勢いは、体験できないわけです。

 感覚的で、なんとなくのニュアンスや雰囲気に流されがちな
傾向があった(らしい)80年代は、否定的に、ちょっと恥ずかしい
少しだけ昔の話として語られることもあったけど、
宴の後で実体がなかった分、蜃気楼のような曖昧な見え方が
すごくよかったのかもしれない。

 今回、その時代の先端を突っ走っていた人が
昔を懐かしく振り返って鮮明に描いた世界は、
憧れていたとおりの、ちょっとおセンチな世界だったなあ。

 うまく表現できないけど、今とは確実に違う、
ひとつの時代があったんだな、と実感できる映画だったような気が。
 


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まめ。 [HOMEPAGE]