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†うらみごと† - 2001年10月07日(日) いいえ確かにわたくしはそういった事の類は嫌いな方ではありませんが、貴方の勘違いにも似た思慕の其れとは大きくかけ離れた物であり、幾ら貴方が心からの言葉で「お前だけだ」と申されましてもわたくしの嘘ばかりを映し出す鏡に映った女を前に復讐を誓った存在としての耳には欺瞞に満ちた鳴き声の羅列以外の何ものとしても響きはしません。ええ其れはもう羽虫の羽音程の弱々しいもの。 けれどわたくしは、例えわたくしが「貴方だけ」でなくとも、わたくしの擬態に寄ってきた誰もが「お前だけ」と言って下さらなくてはどうにも納得がいきません。どうせまたわたくしの酔狂な物謂と嘲笑なさるかも知れませんが、其の酔狂に溺れてしまえば末期の吐息まで舌先で舐め取って差し上げますのに。 ええ、勿論タダでとは申しません。なに、ほんの少しの間だけ考える事を止めて下さればいいのです。嘘とは暴かれない限り真実に他ならないのですから。カタストロフに向って突き進んでいるとしても、気付かずに居られれば僥倖でしょう? そう言う訳ですので、空白の数日間については誰も何も気付かなかったということで。 ...
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