「17歳のカルテ」という映画を見た。 劇場公開をしているときから興味はあったのに、 見ないで今日まで過ごしてきていた作品だ。
舞台は1960年代のアメリカの精神科病棟。 主人公は自殺未遂でボーダーライン人格症だと診断されて、 精神科病棟に入れられてしまう。 そこにいる少女たちはみな、何かしら心の病を持っている。 一見つかず離れずの少女たちだが、その結束力は強い。 主人公はそんな"友達"のことを思うと、 病棟から出られなくなってしまう。 約1年をそこで過ごして、主人公は退院することになる。
平たくいえば、ストーリーはこんな感じだ。 この作品では、今の私と同じ"17歳"の少女が描かれている。 じゅうななさい、セブンティーン。 その素敵な響きの中に、 彼女たちは不安や苦悩を隠し持っている。 17歳という年齢は、映画や小説でよく取り上げられる年齢だ。 それは、かつて17歳だった大人たちが、 17歳という期間を何か不思議なもののように 感じているからに違いない。 そうして、私は今その期間を生きている。 自分が17歳であるうちに、 この映画を見ることができて良かったと思う。 17歳だからできる、17歳しかできない、 そんな感じ方ができたように思う。
彼女たちは普通の人よりも 感情や感受性の振れ幅が激しいだけなのだ、 そんな画中のセリフに母は共感していた。 私もそうだと思っている。
そう考えていたら、ある女の子のことが頭に浮かんできた。 友達や先生は好きだけれど、学校という組織が嫌いで 学校に行っていない女の子。 精神科に通ったりして、毎日つらそうにしている。 そのつらさを味わったことがない私は本当に無力で、 いくら彼女と話しても大した意味はなさないかも知れない。 けれど、音楽が人に力を与えるように、 映画ならば彼女に何かを与えられるかも知れない。 だから、私は彼女に「17歳のカルテ」をすすめた。
「精神的にきつい状態では見たくない映画だ」 そう母は言っていたけれど、それはどうなのかしら。 私はそんなことはないと思う。 映画の主人公が少し強くなって退院したように、 彼女だって強くなれるかも知れないから。
最後に、主人公の役の女優が話していた言葉をひとつ。 「ありのままの自分を受け入れることが苦悩の種になっても それも自分の一部だから切り捨てることができないの。」
少しでも彼女が元気になってくれることを願う。
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