2003年06月28日(土) ありがとー


真夜中近く、小野くんのお母さんが亡くなったという知らせを受け取った。
小野くん泣いてないかなぁ。
これが、私がそのときいちばん最初に考えたこと。

部活仲間の小野くんは、学年トップだけどスタイリッシュな男の子なので、みんなの人気者。
小野くんはいつも冷静で明るい。
落ちこむ姿を人には見せない。
でも、私は小野くんのそんな姿を見たことがある。
三年前、部活帰りのマクドナルドで、小野くんは泣いた。
初めての彼女と別れたあとだった。
「おれ、あやのこと本当に好きだったんだ」
私はそう言う小野くんの頭をよしよししてあげることしかできなかった。

きっと、今、小野くんはそのときの何倍もつらい。
彼女とお母さんはぜんぜん違うもんね。

お通夜のとき、小野くんは泣いていなかった。
高校の友だちとおしゃべりをしている姿を見て、少しほっとした。
献花を終えて小野くんの前を通り過ぎるとき、
「ありがとー」っていう小さい声が聞こえてきた。
小野くんの声。

すごいなぁ、やっぱり小野くんはすごい。
自分がつらいときなのに、誰かに感謝することができるなんて。
それとも、自分がつらいときこそ、誰かに感謝することができるのかな。



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