2001年04月07日(土)
あなたは本当に確信犯ですか?
 女の子同士で、恋の話になる。
 すると、誰々が誰々をだました、だとか、自分の彼氏に嘘をついて他の男の子と遊びにいった、だとか・・・・まぁ、本人も多少の反省をするところを見ると後ろめたく思いつつも悪事を重ねた・・・・要するに悪いとは思ってるけど、まぁ・・・・ね♪なんていう告白話になってくる。そして、周囲から彼氏や被害者に同情してか、こんな声。
「あんた、それ、確信犯じゃんっっ♪」

 テレビでニュースを見ていると、次々に凶悪な犯罪・事件が報道される。
 犯人は計画犯罪を見事に遂行し、その犯人がお縄になれば、警察もがんばって取り調べるからいずれその計画の全貌が明らかにされる。
 そんな取材の一部始終をため息混じりに見ていたコメンテーター、もしくはキャスターがこんなことを言う。
「これは正に確信犯ですね・・・・。」


ありえない!!( ̄^ ̄)


 私は叫ぶよ(爆)
 そもそも、「確信犯」というのは「自分では悪いことをしたとは思ってない」人たちのことを指すのであって、決して「悪いと知りつつもあえて罪を犯す」人たちのことではない。最近、この言葉を「計画犯罪を企てた人」みたいな感じで使われてしまうことがあるようだが、それは全くもって間違い(となる場合が多い)。
数年前、地下鉄でサリンをまいた人たちは「確信犯」(に近いもの)であり、ここに挙げた代表的な2例は全くもって真逆なのである。
 要するに、私利私欲のために計画犯罪を企てる人こそ、確信犯からは最も遠い人ということになる。

 もちろん、本当の確信犯の中にも「計画犯罪」を企てる人はいるが、根本的に私利私欲のために動いていない場合の方が多い。 

 予てから首を傾げつつこのようなやりとりをあちこちで見てきたのであるが、この真逆の間違いははっきりいって恐ろしいことだと思う。
 日本語は世界各国で使われるあらゆる言語の中でも難度の高さでは定評がある。発音にしても、古来から接頭語やら音便やらで色々な加工が施されてきた。ここ100余年のうちにも文語・口語の境界がかなり緩やかになってきている。つい最近では「ら抜き言葉」の是非について激しい論争が巻き起こっていた。これは日常生活で用いられる発音や表記に関するものなので、進化・変化は免れないとしても差し障りない・・・・できれば、美しい形のまま残ってほしいと切望する身ではあるが。
 しかし、言葉の意味合いそのものはしっかりと伝えてゆかねばならない。
「食べられる」(可能)を「食べれる」とするのとは大きく問題を違えているのだ。

 それで私が今、もっとも危険を感じている言葉、それが「確信犯」である。

 言葉というものは恐ろしいもので、多数決原理が無駄に働いている。
 仮に、とりあげた言葉「確信犯」の本当の意味をある集団・・・・仮に20人としよう・・・・そのうちの1人だけが把握していてもダメなのである。2人いたとしても、多勢には太刀打ちできないだろう。
 もしこの集団がその原理で以って調停を開いたら、まさにはちゃめちゃな判決が出てしまうのである。
悪いことと知ってあえて罪を犯す「確信犯」と良かれと思って信念を貫く「確信犯」に与える罰の重さは、果たして同じになるだろうか?言葉の解釈が真逆なために真理を追究することすら困難になってしまう。そして、間違った解釈をしてしまったがために、被告は本当のことが伝えられないまま冤罪を被る危険性だって出てくるのだ。
 まだその可能性はこの国では低いかもしれない。
 しかしありえない話ではないのだ。
 いずれ、言葉の意味合いの過渡期のようなものが訪れる。
 その中で混乱に巻き込まれるのは不特定多数、自分が巻き込まれないとも限らない。
 調停の例は些かオーバーにしても、正しい言葉の意味を理解していなければ自分の立場やイメージはおろか、時には命すらも脅かすことになるやもしれない。

 1つ目の例でいうなら。
 確信犯だと言われた本人が本当の意味を知っていて、あとの人間が誤解していたとしよう。
 本人はイメージ回復のために「えぇ、そうよ♪」と言おうものなら、全く真逆の作用にしかならない。

 多勢に勝てない少数派の弱さをかかえ、いちいち意味合いの訂正ができないままでいる私には勇気がない。影響力もない。<面倒だ・・・・という理由も含まれるけど。
 真理を追究するための基本となるスケールがあるのに、それを真理だと証明できないまま埋没することほど恐ろしいことはない。
 そうして日本はここまで来た。
 
 日々、言葉を使うことで表現を続ける私は悲しいのだ。
 自分の使っている言葉が、本当に自分の意図した意味合いで自分以外の人に伝わっているのかどうかわからないというこの恐ろしさ。・・・・これこそ些かオーバーかもしれないが、日本語の崩壊もそう遠くない未来に訪れるのであろう。
 日本語しか使えない私は、そうしたときに何を目安に生きればいいのだろう。
 「確信犯」は私を孤独にさせる言葉の1つなのかもしれません。

 これを読んでくれた人たちが、せめて、正しい意味でこの言葉を理解してくだされば・・・・。それが私にとって、ささやかな「日本語崩壊の危機」に対する反抗みたいなもんですかね( ̄∇ ̄;)
 


三省堂 大辞林より
【確信犯】かくしんはん
 道徳的・宗教的・政治的な信念に基づき、
 自らの行為を正しいと信じて為される犯罪。
 思想犯、政治犯、国事犯など。


あさみ


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