2001年12月11日(火)
祈り

 どうも昨日からソワソワして落ち着かないのである。
 何かをしなくてはなならないのだけど、
 それが何なのか思い出せなくて、苛々するし、
 苛々しながら考えるのは、それが本当に大切なことだということだけはわかっている
 その事実がずしんと両肩を押さえるみたいにして、
 1日、布団の中にいるしかなかった。


 自宅を拠点にしておけば、その「重要な事柄」が何かを思い出しても
 きっとすぐに対処すべく動くことができると考えたからでもある。




 思い出したのは、午後・・・・夕方になってからであった。








 自宅にいてよかったのかどうか、それは定かではない。
 自分の今の状況は、決して「横浜」まで駆けつけるに相応しくない。
 電車に乗るのには何日も前からきちんと「覚悟」をしておかなければならないし
 お金を貯めねばならない。
 発作的に家を飛び出す立場ではないので、
 私は家の中で、自分なりの行動を打ち立てた。













 祈った。
 仏壇に蝋燭を灯し、線香をくべた。
 正座して、15分ほどではあったが、合掌をし、目を閉じ、
 改めての冥福を祈った。


 自分の先祖を祀る仏壇を通してというのは、
 筋違いと思ったので、
 手を合わせた瞬間、最初に、それはきちんと詫びておいた。





 今日は、先生の命日。
 あの悲劇的な事故(事件)から、もう4年になる。








 合掌をしながら、私は色々な思いを馳せた。







ご先祖の皆々様、申し訳ありませんが、
今日だけは他の人のために手を合わせていることをお許し下さい。

どうして、先生はあんなに早く逝ってしまわなければならなかったのですか・・・・。


そして、私は何故今、ここにいなければならないのですか・・・・。


先生は、苦しかったんでしょうか。
本当はもっと、沢山の作品を作りたかったんじゃないのでしょうか。
もう、つまらないと考えていたのでしょうか。
それならば、どうして私は未だそれを追い求めているのでしょうか。


苦しい苦しい発作や症状と闘ってまで、
しがみつかなければならないものなのでしょうか・・・・。


わからなくなっています。
本当に。


先生はひょっとしたら今も、あの山頭火の歌のように
ボロボロになりながら、天に続く長い長い梯子を昇り続けているのですか?
薄い硝子でできた階段が、踏みしめる度に
彼の足を傷つけると思います。


だからせめて・・・・
誰か・・・・


先生の足の痛みを和らげてあげてください。
その役目がもし私にあるのなら、
早く、この病から解放してください。



私の今生の活躍が、彼の痛みを和らげるのであれば
それを成し遂げるために、私は邁進しようと思います・・・・。











 目を開けると、線香がほとんどなくなっていた。
 うっすらと立ち昇る煙は、鼻腔をくすぐり
 私は大きく息を吐いた。




 ずっしりと重かった肩もその頃にはすっかりと解放された。
 今日は、歌舞伎町のあの店で、先生を偲ぶ人たちも集まるはず。



 先生。
 そっちの酒宴に参加するのも面白いと思うから、
 早く新宿に急いで。



 私は仏壇の扉を閉めて、改めてそう祈った。

 

あさみ


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あなたの毎日にずぅむいん・・・・

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