あぅぅ・・・・次々とマルチメディア化されて、元々少女マンガだっつうことがだんだん薄れてきてます、矢沢作品(苦笑)。今や爆発的人気を記録し、初日動員数、あの「セカチュー」を塗り変えてしまったとかいう、脅威の宣伝力で以って好スタートを切った、映画版「NANA」。う〜む。あの、「誰か・・・・誰か、助けてください〜〜〜〜っっ!!」という、映画を象徴するような名台詞が、この映画にあるかっちゅうとそうじゃなく、匹敵するせりふがあるとするならば、アレだ・・・・「こんばんは。ブラストです。」何という存在感なんだろう・・・・中島美嘉。この日。やっと、劇場に足を運び、「NANA」を見てきた。えっと・・・・最初に断っておくと、原作を読んだことがない人にとっては「え? だから?」くらいの映画ですよ。あんなにマルチメディア化されてるのにもんすごく原作に忠実。その忠実さをウリにしているので、あまりのトレースぶりに度肝を抜かれる・・・・そんな感じです。最近、コミック→映画orドラマ化なんていう流れがすごく多いですが、オリジナリティを追求しなければならないので、やっぱり原作とどっかが異なる、1つの独立した作品になってしまうんだけど、コレはねぇ・・・・そういう風潮を縦横斜めに見事にぶったぎって、原作の世界をそのまま実写に投影した、異色の作品でしたわ。矢沢信者(永ちゃんではなく)としては非常に気になるわけですよ。彼女の描く世界が、マンガから離れて実写になった時、どんなふうになるのかなぁ・・・・って。アニメ化までは想像がつくんだけど、「下弦の月」を見逃したオノレとしては、今回見逃すことはどうしても許されないわけで(笑)。しかもですね。あたくしは「NANA」に始まる限定ファンではなく、寧ろ、年代を遡れば遡るほどにグワッと凝縮した何かが溢れ出てくるような感じがする、31歳ですからね(笑)。「ラブレター」「エスケープ」直撃世代なわけですよ。彼女が描いた、短ランのお兄ちゃんや、もんすごい長いスカートをはいたお姉ちゃんたちがリアルにいた世界を知っているわけで、その時の画風とかが大好きなのさっ♪「天使なんかじゃない」の途中以降、めっきり登場人物たちの線が細くなっちゃって、あらあら・・・・本格的にマンガチック(苦笑)と思いはしたものの、喰らいついておいて良かったよ。「パラキス」でグワッと来た時に、手ごたえみたいなものを感じちゃったもんね(爆)。矢沢ウェイブが来るっっ!!・・・・と(爆笑)。さて。今回、こんなにもすんごい大波になるとは予想だにせず、定期的に配信されてくるメルマガや定期的に更新される公式サイトや、コミックについてくる帯なんかを、数年に渡ってずっと眺めてきたわけのですが、それこそ日を追うごとに爆発的な人気が出てきて、あれよあれよという間に、2人の「ナナ」はスターダムに伸し上がってしまった。「何かすごいな・・・・最近の矢沢作品は・・・・( ̄∇ ̄;)」と、数歩引いたところからこの現象を傍観していたのですが、遂にTVCMにまで映画の告知が懸かるようになり、やっとこのメディアが、日本はおろか世界に認められるところにまで来てしまったんだということに気付かされた。そんなこんなで10月の深夜枠、「パラキス」もアニメ化が決定。こんなに動員できると製作委員会も考えていなかったのか、映画の続編もついこの間、同じキャスト&監督で製作が決定。何だかすごいことになっている。↑いいなぁ・・・・正直羨ましい!!さてさて。本題、映画のことなんですが。中島美嘉は「女優」ではなく、あくまでミュージシャンなので、あたくしとしては何も求めない。ただ、そこにいるだけで恐らく、きちんとした「大崎ナナ」だったと思う。せりふを喋ると軽い感じがするんだけど、あの年齢であの雰囲気を醸し出せる「女優」が残念ながら今の日本にいない・・・・とこういうふうなからくりなので、彼女は適任だったと思う。レンとのキスシーン、彼女は目を閉じない。元々大きく、更に上下のマスカラと独特なシャドウの入れ方で、気合の入ったあの目。確かにせりふは空々しく聞こえるけれども、無言になった瞬間、彼女は最強になる。しかも、そういう化粧を落とした入浴シーンでも、無敵具合を発揮。この人、「ナナ」専属女優としてもうちょい磨けば、ホントに世界に通用するかもしれん・・・・。メイクの力を借りたとはいえ、あんな意志の強い瞳を見るのは久々かも。そして、更にびびったのは、「ハチ」こと「小松奈々」役の宮崎あおい。この映画の全てのシーンにおいて、彼女がふんばって空気を作っていたと言ってもおかしくない。他に、「ヤス」を演じた丸山智己、「レン」を演じた松田龍平、果ては成宮寛貴という矢沢作品経験者等芸歴に遜色のない役者が揃っているのに、「小松奈々」にも「大崎ナナ」とは違う華がある。正直、それほど期待していなかったので(苦笑)コレは嬉しい誤算で、彼女が出ているシーンは非常に安心して見ていられるのである。「こんなハチもアリかな♪」ではなく「・・・・ハチだよ。紛いようのないハチだよ・・・・。」とこちらに言わしめてしまう、究極の「華」・・・・主演としての大輪が彼女にはあったように思う。んで、あたくしの個人的なお気に入りは、「ハチ」の兄貴的存在の「京助」。見事なドンピシャ具合。「淳子」はもう少し激しくても良かった気がするけれど、主役2人とのバランスを考えると、確かにあぁいうポジションになるのかな・・・・と、こっちはジンワリと納得(笑)。そして、面白いくらいによくハマっていたのが「幸子」(爆)。『学校へ行こう』(既にレギュラー終了)や『ドラゴン桜』(出演中)でもおなじみのサエコがこの役に抜擢されたのだけど、意外とや、ビックリするくらいの適役。彼女の良さがそのまま「幸子」に投影された感じで、非常に素晴らしかった。と、絶賛具合が度を越えていますが、2点ほど許せないくらいにムカついた部分があるにはあります(笑)。1点目。松田龍平の腹!!おいおい・・・・たった3シーンしか出てこないはずの「タクミ」役の玉山鉄二が1ヶ月で8kgもウェイトを落としてくる本気度を見せていてくれるのに、オマイさん、入浴シーンやベッドシーンがあるのにその腹は何ですか!?いや、そのシーンがなければ、わかんないわけだからそのまんまでいいと思うんですけどね、本が手に渡ってからでも遅くないとあたくしは思ったわけで。減量しろとまでは言わない。顔の形は変わらなくてもいいから、腹だけ引っ込めろ!!( ̄^ ̄)ナナとの入浴シーンで、奇妙な違和感を感じたのは、二世サラブレッドの不摂生の賜物でした(苦笑)。そして2点目。平岡祐太そのもの!!あのね、役としての「章司」がムカつくのと、オマイさんの存在がムカつくのは別だよ。あたくしはどうしても、「章司」の佇まいと間合いがもうダメだった。ラブシーンなんか、こっちが恥ずかしくて見てられなかった。え・・・・テレビのドラマとかでも彼は見たことがあるけど、こんなに恐ろしい芝居をする人だった??と我が目を疑ったくらい。「ハチ」がいいテンションでシーンを引っぱり上げてるのに、台無しにする男( ̄∇ ̄;)彼が意図するところとは別な視点から見て、もうガッカリだった。まぁいい。続編が決まったらしいが、恐らく続編の話の流れ的に、彼はもう関係ないだろう(笑)。印象に残るシーンやせりふも数々あれど、製作側が意図していないところで非常にツボにハマったいいシーンがあった。作ってる側の主張としては、「707号室の内装は絶品」、「ライブシーンは必見!」等々、力の入っている部分を推薦していてくれるが、そこはそことして、あたくしは別のところに釘付けだった。原作にも登場するんだけど、例の「707号室」がある、多摩川沿いのマンションの外観・・・・。CGの合成だろうが、突貫工事であの時だけ建てた物であろうが、はたまた、矢沢あいが実際に原作を立ち上げる時に資料としてロケハンで捕まえてきた代物であろうが、とにかく、あの川沿いにうってつけっぽいあのマンションの外観はちょっと感動した。ここまで原作の画に忠実な映画って、他にあるんだろうか・・・・? と思うくらい。愛を感じちゃうよ、正直。細かいところが妙にリアルすぎて参っちゃうんだ。ライブシーンはそこそこだと思う。トラネスのライブのためだけに発掘してきたといっても過言でない「レイラ」こと伊藤由奈はギリギリまでシークレットにしてきただけの事はある。コレからぐんぐん伸びるだろう。原作では、ブラストよりトラネスの方が先にメジャーになっているけれど、リアルでは、中島嬢の方が伊藤嬢の先を行っている。このパラレルも、作品にいい影響を与えそうで、続編に例えば「シン」がらみのストーリーが入るとして今後、「NANA」に便乗しながら伊藤嬢がガンガン売り飛ばしていけば、メディア的に本当に面白いことが起きそうな気がする。彼女自身、ハーフで国籍もアメリカ。確か原作の「レイラ」はクォーターだったような気がするが(曖昧)イメージ的なディテールをぶち壊していない、繊細な素材を探し出してきたことには拍手だと思う。通常、映画と原作は別物であることが多いから、原作を読んでいない人が映画を見に行こうとしていたらそのまま劇場へ直行することをお勧めするのだけれど、この作品に限っては「待った」をかけたい。原作を読んでいないと楽しめない、超閉鎖的な映画なのだ。閉鎖的・・・・というと語弊があるのか。う〜ん、参ったなぁ。でも、あたくしの表現力でいうなら、この言葉しかしっくりこないんだよね。累計(只今13巻・・・・これからも続く予定)2500万部を売り上げているコミックが閉鎖的かどうかそういう問題にもなると思うんだけど、読んでいない人を撥ね付ける独特の空気感は確かにある。ジャンルとしては恋愛モノだから、そもそも、あたくしの好きな映画・・・・というのともちょっと違うのだ。ただ、この映画を1本撮るのに物凄いプロセスを辿っているなぁ・・・・と感じてしまうのはあたくしがこの原作を寸分漏らさず読んでいるからであり、作り手もまたそうだからかも。少女たちの無垢な残酷さを、等身大に映し出すだけの日常的な物語なのに、作り手があそこまで原作に拘るには、やっぱり何かしらの「リアル」がそこにあるからなんだろうなぁ。でも「リアル」を忠実に再現したからといって、それが即「面白い作品」として受け容れられるかというのも、非常に危ういポイントでもある。この作品は、ハッキリ言おう・・・・万人にはお薦めできない。↑どんな感想をもつんだろ?(笑)いや、かなり裾野は広いということは前々から聞かされてはいたんだけど、こういう現実として目の前に広がったあの光景は、ちょっと異色でした。こんなふうに少女マンガが今までの読者層をぶち抜けていくってことは、実はとてもすごいことなんじゃないかなぁ・・・・そんなふうに素直な感想だけは残った。ちなみに本日の表題ですが、トリビュートアルバムの中にある曲の歌詞の一節です。